だがプレーヤーが街中でさまざまなポケモンを捕獲するこのAR(拡張現実)ゲームが、実際にプレーヤーの身体活動を増やすことが調査によって分かった。そして、ゲームでレベルを増やす必要がある人ほど、最もその恩恵を受けている。
「この調査結果は驚きではなかった。私自身、ポケモンGOをプレーするようになってから、以前よりもよく歩くようになった」と、調査報告の筆頭著者でデューク大学看護学校の博士課程で学ぶハンザン・ジューは言う。
ジュー率いる研究チームは、去年7月のリリースと同時にポケモンGOに飛びついたiPhoneユーザー167人を集め、7月15日から31日まで毎日、iPhoneのアプリが測定した歩数のスクリーンショットを撮影するよう依頼した。参加者の平均年齢は26歳。ポケモンと共に育った世代だ。
ゲームをプレーするようになる前、参加者たちの1日あたりの平均歩数は5678歩日だったが、プレーするようになってからの歩数は35%増の7654歩に急増した。1日の歩数が1万歩を超える人の割合は、プレー前の15%からプレー開始後には28%に増えた。
当然ながら、プレー時間が長い人は、歩く時間も長くなった。1日のプレー時間が2時間未満だった人の場合、増えた歩数は1日当たり平均2238歩だったが、2~2.5時間の人は、平均2861歩増えた。
このゲームをよく知らない人のために説明すると、ポケモンGOをプレーするためには、街中を歩きまわらなければならない。さまざまなところに現れる“野生の”ポケモンを捕獲するためだ。さらにポケストップ(公共の建物などさまざまなランドマークに割り当てわれている)で入手したたまごを孵化させるためには、2km、5kmまたは10km歩く必要がある。
調査で毎日の平均歩数が最も増えたのは、調査開始時に体重過多または肥満だった人、あるいは日々の運動量が最も少なかった人々だった。体重過多のプレーヤーの歩数はプレー開始前と比べて1日当たり3031歩増加。運動量が最も少なかった人々は2899歩増加した。
研究者たちは「ポケモンGOのようなゲームは、特に日々の活動量が少ない人や肥満傾向の若者に新たなエクササイズ方法を提供する」と結論づけた。
ジューによれば、研究チームでは時間が経過しても日々の歩数が維持されているかどうか、フォローアップ調査を行う計画だという。だがiPhoneの新OSがリリースされたことで、歩数の計測法が変わり、前回の調査時との正確な比較はできなくなったということだ。
それでも今後の調査に期待できる理由は2つある。先ごろのポケモン第二世代のリリース(さらに100のポケモンが追加)や、たまに行われるホリデースペシャルセールが、プレーヤーの興味を維持するのに役立つ可能性がある。加えて、この小規模な調査は、ある概念を実証している。AR技術を使用した新たなモバイルゲームがプレーヤーに歩き回ることを求める場合、それが実際に人々の活動量を増やすことにつながる可能性があるということだ。
「今回の研究を経たメッセージとして、身体活動を組み込んでいるゲームがプレーヤーのエクササイズを推進しうると言えるだろう」とジューは言う。「ポケモンGOと同様のそのほかのゲームでも、同じような効果がある可能性がある」