「食のアマゾン」狙うフードデリバリー企業、流通額10億ドル突破へ

ポストメイツ共同創業者兼CEOのBastian Lehmann(Photo by John Phillips / gettyimages)

オンデマンド型配達サービス大手のポストメイツ(Postmates)は、5年前の創業から2年をかけて累計配達件数100万件を突破した。その後、事業は急成長を続け、現在は月間200万件の配達を行っている。

ポストメイツの共同創業者兼CEO、Bastian Lehmannはフォーブスの取材に「2017年のランレート(年間予測値)は流通総額が10億ドル、ユーザーとレストランから得る手数料収入が2億5000万ドルを超える勢いだ」と述べている。

ドイツ移民のLehmannは、現在39歳。野心溢れる起業家の彼は、現在の実績に満足しておらず、来年には手数料収入が10億ドルを突破することを目標にしている。一部の投資家は同社の成長に懐疑的だが、彼はそうした声など気に留めず、2019年にIPOを目指している。

「米国の食品・食料雑貨品小売業の市場規模は1.4兆ドルだが、モバイル経由での取引きは1.4%しかない。現在のポストメイツやInstacart、Seamlessの規模をはるかに上回るプレーヤーが今後出現することは間違いない」とLehmannは話す。

フードデリバリー業界は競争が激化しており、ポストメイツはドアダッシュ(DoorDash)やグラブハブ(GrubHub)、イェルプ(Yelp)、ウーバー、アマゾンとしのぎを削っている。各社は詳細な業績を公表していないが、現在のマーケットリーダーはグラブハブだ。同社の2016年の流通総額は約30億ドル、手数料収入は5億ドルで、月間配達件数は平均800万件を超える。

現在、ポストメイツは全米44都市でサービスを提供している。配達スタッフは、ウーバーやリフトのドライバーのような独立契約者で、彼らがレストランから料理を受け取ってユーザーに届ける。従業員数は約500名で、180名がナッシュビルにあるサポートセンターに在籍し、残りの大半がサンフランシスコの事務所に勤務している。

ポストメイツは、取り扱い高が急成長しているものの、利益はまだ出していない。Lehmannは、CPA(顧客獲得単価)と品質管理が改善されれば、2017年末か2018年の初めには黒字化を達成できると見込んでいる。

LAでは「配達用厨房」のレンタル事業も

ポストメイツは、昨年10月にシリーズEで既存株主のFounders FundやFontinalis Partnersなどから最大1億9000万ドルの資金調達を実施することを公表した。このところ、ウーバー型のオンデマンド・サービスを提供するスタートアップが相次いで巨額損失を出しており、フードデリバリー企業にとっても資金調達の環境は厳しくなっている。

今回のラウンドでのポストメイツの評価額は、ポストマネーで前回ラウンドと同じ約8億ドルにとどまった。ライバルのドアダッシュも昨年1億2700万ドルを調達したが、評価額が前回よりも下がるダウンラウンドとなった。

それでも、Lehmannは今後の展望について非常に前向きで、「投資家からの信頼感は、昨年後半に急激に低下したが、現在は復調傾向にある。評価額は高い方が望ましいが、調達できるときに資金を確保して事業を前進させることが大事だ」と言う。彼はポストメイツが過小評価されていると考えており、前回ラウンドで個人の持ち分を増やしている。
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編集=上田裕資

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