2016年には売上高が前年比23.7%増の49億ドル(約5637億円)と、事前予想を上回る規模となった。1株当たり利益は30.9%増、既存店売上高は前年比15.8%増。その結果、純利益は前年比28%増の4億980万ドル(約471億円)を達成し、希薄後1株当たり利益は前年度の4.98ドル(約573円)から6.52ドル(約750円)に増加した。
売上増加に貢献したのがEコマースの堅調な業績で、同部門の売上高は前年比56.2%増の3億4530万ドル(約397億円)となり、全体としての既存店売上高15.8%のうちの240ベーシスポイント(2.4%)を占めた。2016年、アルタビューティーは新たに200店舗をオープンし、総合店舗数は974店となった。
2017年度も当分の間、同社の成長維持に役立つイベントが予定されている。まず春には、エスティー・ローダー傘下のM・A・Cの取り扱いを開始。年度末までには100店舗で展開する予定だ。M・A・Cは顧客からの需要が高く、同ブランドを入れることで同社の力強い成長の勢いがさらに増すと思われる。秋冬にオープンを予定している全ての新店舗には、おそらくM・A・Cの特別コーナーが設けられるだろう。
また、アルタビューティーの経営陣は、マンハッタンとシカゴ、サンディエゴの都市部に初の店舗をオープンする考えを示唆している。都市部の消費者はアルタビューティーの品揃えやサービスを歓迎すると考えられ、従来の百貨店各店は忠実な顧客ベースを守らなければと警戒することが予想される。
同社は2017年度に新たに100店舗をオープン、13店舗をモデルチェンジする予定で、既存店売上高は控えめに見積もって前年比8~10%増、収益は20%代前半の増加になると予想している。
だが筆者としては、同社が再び独自の事前予想を上回る業績を達成すると確信している。確かにマンハッタンの店舗賃貸料や運営コストはそのほかの地域よりも高いが、都市部は人口密度が高いため、その見返りもその他の地域より大きいことが多い。
アルタビューティーの成功の理由は、常に消費者の利益を最優先にしてきたことだと筆者は考えている。品揃えにおいても価格においても、顧客一人ひとりに応じたサービスやロイヤリティ・プログラムにおいても、同社は消費者を最優先にしてきた。例えば顧客の誕生日には連絡をして特別サンプルを提供し、その関係をさらに強固なものにしている。
約900平方メートルという広々とした店舗は、オリジンズや資生堂、そして今後はM・A・Cと、女性が欲しかったブランドの商品が見つかる心躍る場所だ。そこではきめ細かいサポートも提供される。アルタビューティーは、現代的な小売店でありながら、買い物は楽しくてワクワクする体験でなければならないという古くからのルールをきちんと理解しているのだ。