アメリカ在住の精神科医 久賀谷亮氏


日本でもマインドフルネスが流行しているのは、脳が疲れていることとストレスを抱える人が多いからだと思いますが、日本人は感情をあまり出さず、ストレスをため込んでしまうような傾向がありますね。

まずは、感情を抑え込まずきちんと吐き出すことが大事です。そして、仕事以外に逃げ道を作ること、オンとオフをきっちりわける儀式を持つこともいいでしょう。駅前に温泉があるところに住んでいて、金曜日仕事が終わると一風呂浴びることが儀式だったという方もいましたよ。

また、日本人の若者の自尊心は世界一低いというデータもありますが、自尊心を育てることもとても大切です。

自尊心の育て方を教科書的にいえば、人から言われることをいかに額面通りに受け取るかです。何か言われたときに「そんなことないです」とへりくだるのではなく、「ありがとう」と受け取る。厳しいことを言われても、強く受け取りすぎないようにする。そのためには、自分を客観的に見る作業が必要になりますが、客観を大事にするマインドフルネスのアプローチは、自尊心を高めることにも繋がると思っています。

一流のアスリートですらコンプレックスを抱え、自分を誇示するためにお酒やドラッグでごまかそうとしてしまうことがあるくらいですから、ビジネスマンでもコンプレックスに悩む人は多いでしょう。コンプレックスに負けず自信を持つために大切なことは、「自分のコンプレックスを克服する努力をするか、コンプレックスのある自分を受け入れておおっぴらに出してしまう」ことです。

アスリートのプレッシャーと比べると小さなことでしたが、私は自分の本が出た時、否定的なコメントを気にしていたこともありました。しかし「何事にも賛否両論は必ずある。どちらかしかない社会は健全ではない」ということに気づいてから、気が楽になりました。賛成があれば反対があるのが自然なことなのだと俯瞰できるのも、客観的な目を持つように努めているからかもしれません。

最後に、私の本のタイトルは「世界のエリートがやっている」としましたが、実際やっていることはとても基本的で、難しいことは何もありません。
ぜひマインドフルネスを実践して、最高の休息を体感してみてください。


久賀谷 亮◎医師(日・米医師免許)/医学博士。イェール大学医学部精神神経科卒業。アメリカ神経精神医学会認定医。アメリカ精神医学会会員。日本で臨床および精神薬理の研究に取り組んだあと、イェール大学で先端脳科学研究に携わり、同大学で臨床医としてアメリカ屈指の精神医療の現場に8年間にわたり従事する。そのほか、ロングビーチ・メンタルクリニック常勤医、ハーバーUCLA非常勤医など。2010年、ロサンゼルスにて「TransHope Medical(くがやこころのクリニック)」を開業。著作に「世界のエリートがやっている最高の休息法」(ダイヤモンド社)。

インタビュー=谷本有香、構成=栗原京子、撮影=藤井さおり

 

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