上海発の自動車スタートアップ「NIO」 自動運転EV車を米国で発表

自動運転車「Eve」のコンセプトモデル (image : NIO)

上海が本拠でシリコンバレーや欧州でもオペレーションを展開中の自動車関連スタートアップの「NIO」が、同社初の自動運転EV車両「Eve」のコンセプトモデルを発表した。米国での販売時期は、2020年を予定している。

米テキサス州オースティンで開催のSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)で発表されたEveの外見は競合のファラデー・フューチャーのEV「FF91」に酷似している。機能に関してNIOのCEO、Padmasree Warriorは記者会見でほとんど触れなかった。

航続距離も不明だが、同社から提供された資料によると、1回の充電で600マイル(960キロ)走行することを目標にしているようだ。自動運転技術は、米国運輸省が定めた6段階のレベルのうち、「レベル4(高度運転自動化)」に該当するという。これは、一部の状況を除き自動運転が可能な水準だ。

「我々がまず目指すのは、通勤の自動運転化を実現することだ。Eveは制限された状況下で完全自動運転を行うことが可能だ」とWarriorは話す。彼女は、マイクロソフトの取締役も兼任しており、以前はシスコでCTOを務めたキャリアを持つ。

Eveの価格については、Warrior が「プレミアム市場をターゲットにする」と述べたことから、4万ドルは下らないと予想される。NIOのライバルとなるのは、ファラデー・フューチャーやルーシッド・モーターズ(Lucid Motors)などのEVスタートアップだけではない。トヨタや日産、BMW、メルセデス・ベンツ、GM、フォード、ボルボなど大手自動車メーカーも自動運転車の開発に取り組んでいる。

NIOは、昨年まで「NextEV」という社名だった。創業者のWilliam Liは、内燃機関に頼らない、スマートフォンのようなEVの開発を目標にNIOを設立した。Liはシリアルアントレプレナーで、中国の自動車情報サービス大手「Bitauto」を創業し、ニューヨーク証券取引所に上場させている。

NIOはこれまでに中国のテンセントやシンガポール政府系ファンド、テマセク・ホールディングス(Temasek Holdings)、セコイア・キャピタル、レノボなどから総額5億ドルを調達している。Liはさらに5億ドルを調達することを目標に掲げている
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編集=上田裕資

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