テクノロジー分野で注目のイスラエル ホンダもスタートアップと提携

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イスラエル・エルサレムで2月16日から4日間にわたって開催された「OurCrowd Global Investor Summit(アワクラウド・グローバル・インベスター・サミット)」には、世界各国の大企業とイスラエルのスタートアップ多数が参加した。

参加した小売業界アナリストの筆者は、イスラエルで進むリテールテクノロジーのイノベーションについて、今知っておくべきことは以下の3つの点だと考えている。

1.イスラエルのハイテク・スタートアップ向け投資額は、対シリコンバレー以上に

イスラエルのリテールテクノロジー業界は現在、活況を呈している。同国内に拠点を置くハイテク・スタートアップへの投資額は2016年、過去最多の総額およそ48億ドル(5510億円)となった(2013年比で120%増)。これは、同年のシリコンバレーのテクノロジー企業への投資額を上回る額だ。

投資額を引き上げているのは、人工知能(AI)や機械学習が主流化していること、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)が重要なビジネス・ツールとなっていることに加え、音声認識・画像認識技術の発展、医療・農業分野のデジタル・テクノロジーの採用が進んでいることなどだ。

イスラエルのスタートアップ各社間のエコシステムの発展を後押ししているのは、アリババやアップル、フェイスブック、ウォルマートをはじめとする各国の大手企業からの投資だ。さらに、イスラエル政府も優遇税制措置や奨励策を講じている。

エルサレムのニル・バラカト市長によれば、同市にあるテクノロジー企業は4年前には約250社だったものの、現在には約600社にまで増加している。

2.多国籍企業と同国スタートアップの「共同イノベーション」

ホンダをはじめ、HSBC、メルク、ポルシェ、シェルなど、多数の多国籍企業がイスラエルのスタートアップとの提携を進めている。ホンダはイスラエルのクラウドファンディング・プラットフォーム、アワクラウドとともに、自動車関連技術のエコシステム構築を目指すためのスタートアップとの提携を進める。

また、厳しい競争に直面しているドイツのエネルギー関連会社イノジー(Innogy)も、アワクラウドを通じてARとVR、人工知能に強いスタートアップとの提携を模索中だ。

3. アディダスとGEはアクセラレーターでイノベーションを推進

アディダスはアワクラウドと提携し、「leADスポーツテクノロジー・アクセラレーター」プログラムを開始した。スポーツ関連の製品・サービスの国際的規模での提供を実現する可能性が高いスタートアップの選出と支援を目指す。

一方、ゼネラルエレクトリック(GE)は、GEデジタル・イスラエル(GE Digital Israel)など同国内で複数のイノベーション・プログラムを実施している。すでにスタートアップと16社と提携し、製品・機器をインターネットに接続する「インダストリアル・インターネット・オブ・シングス(IIoT、産業インターネット)」を開発した。

編集=木内涼子

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