中国「滴滴」がシリコンバレー進出 AIエンジニア採用強化

滴滴出行・柳青(Jean Liu)総裁 Photo by Michael Kovac / gettyimages

昨年アップルらから合計70億ドル(約8000億円)以上の出資を受けた中国のライドシェア企業「滴滴出行(Didi Chuxing)」がシリコンバレーにR&Dセンターを開設した。

中国市場でライドシェア市場の覇権をウーバーから奪った滴滴が、カリフォルニアに拠点を構えることは、同社のイノベーションへの取り組みの貪欲さを示している。

マウンテンビューに開設された滴滴のDidi Labs は「AIをベースとした自動運転テクノロジーの開発に注力する」と3月8日にアナウンスした。開発の指揮にあたるのはパロアルトネットワークスの共同創設者でDidi Research Institute の部門長のコンピュータサイエンティストのFengmin Gongだ。

滴滴は同時にサイバーセキュリティの専門家のCharlie Millerを迎え入れた。Millerはこの発表の5日前にウーバーの自動運転開発部門から離職したばかりだった。Millerは米国国家安全保障局(NSA)に在籍中の2015年、同僚のChris Valasekとともにジープのチェロキーを遠隔操作でハッキングし、コネクティッドカーの脆弱性を発見した業績で知られている。

自動運転車の実現にあたり最大の懸念の一つがハッキングだが、この分野に知見を持つMillerを迎えたことは滴滴にとって大きなメリットだ。Millerはツイッターの投稿で「私の滴滴での役割は、外部からの攻撃に耐える自動運転システムを構築することだ」と述べた。

滴滴はさらに、かつてグーグルの自動運転開発部門の主任を務めたSebastian Thrunが創立した教育サービスUdacityとの提携も発表。共同でプログラムコンテストを開催し、AIプログラムの未来を切り開くスターエンジニアを見つけたいと述べている。

自動運転の安全をテーマとしたコンテストで、トップ5にランクインしたチームには賞金10万ドルが与えられ、Udacityの自動運転車で実際の動作を試すこともできる。滴滴側はこのコンテストを通じ、優秀なエンジニアを採用する。

Thrunは先日のフォーブスの取材に対し、次のように述べていた。「ハードウェアとソフトウェア分野の双方で自動運転車に関わる優秀な人材が求められている。外部から新たな才能を見つけることも可能だが、優秀な人々は既に企業に在籍している場合が多いのが現実だ」

編集=上田裕資

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