中国で「パクられずに」スタートアップ企業が成功する方法

(Photo: Benjamin Joffe / HAX)


最大の防御は開発の「スピード」

3点目にあげられるのが、製品の複雑製を高め、模造品製造のハードルを可能な限り高くすることだ。ここで有効なのが、光学や医療等の専門的サイエンス知識が必要なプロダクトを作ること。また、コンピュータビジョンやAI等の先進的ソフトウェア技術が要求される製品を企画することも有効と言える。

深セン発のスタートアップで世界的知名度を獲得しつつある知育玩具「メイクブロック」CEOのJasen Wangは「多くの企業が我々の製品を模倣しようとしたが、ソフトウェア構築の能力の低さが原因で、同レベルのユーザー体験は実現できていない」と述べている。他社に勝る野心的プロダクトを開発することで投資家の関心も惹けるし、新たな才能を呼び寄せる結果にもつながる。

さらに、模造品に対する最大の防御は、全速力でプロダクトをリリースすることだ。スピードが全てなのだ。そのために世界で深センほど適した場所はない。スティーブ・ジョブズは最初のiPhoneのリリースにあたり、当初はプラスチック製だったスクリーンをガラス製に変更し、わずか数週間でそれを成し遂げた。それを可能にしたのが深センのサプライチェーンだった。

シリコンバレーから深センを訪れるスタートアップ企業らは異口同音に「深センでの1週間は、母国での1ヶ月に相当する」と述べる。製品を迅速にリリースすることはチームの士気を高めるし、投資家の注目を集めることにもつながる。

編集=上田裕資

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