人を惑わせる「自信過剰」の魅力 トランプを例に検証

Photo by Chip Somodevilla / gettyimages

ドナルド・トランプ米大統領が2月16日に行った長時間に及ぶけんか腰の記者会見について、政界関係者の多くは「大失敗だ」と考えた。だが、トランプはその翌朝、ツイッターにこう投稿した。

「…素敵なコメントばかり、ありがとう。…偽メディアはさぞ不満だろう!」

トランプはなぜこれほど、ほぼ盲目的なまでに自信たっぷりなのだろうか──?

力のあるリーダーたちが自信過剰であることは、珍しいことではない。そして私たちの大半は、リーダーを選ぶときには彼らの「誘惑の言葉」に魅了されてしまう。

筆者と同僚がカリフォルニア大学バークレー校ハースビジネススクールの学生を対象に行った調査では、リーダーに選出されるのは最も自分に自信を持っている者たちだった。

彼らは大いなる信念を持って一番に話し始め、一番多く語った。自信がある人たちは他者に対し、自分は自らの行動を理解していると信頼させることができる。要するに、彼らは自信満々にみえるのだ。そのため、集団の中で地位を獲得し、他者に影響力を及ぼすようになることが多い。

自信が能力を反映したものであれば、その人がリーダーに選ばれるのは当然のことだ。だが、問題はその人の自信が能力を適切に反映していない場合があるということだ。

筆者の調査によれば、自信と能力の間には大抵の場合、相関関係がほとんどないか、全くない。テストで最高点を取る学生たちは、自分の回答が正しいと最も強く確信している学生たちではないのだ。

こうした状況が生まれる原因の一つは、(過信する人たちに)適切な自己洞察が欠けていることだ。自信を持っていいのかどうか、自分自身で完璧な判断を下すのは難しいことなのだ。そして、もう一つの原因は、リーダーになりたい人たちの多くが、自信を見せることの効果については「正しく理解している」ということだ。そのため彼らは、正当な根拠のない自信を示したがる。

「自信」の力を示す好例

「自信の勝利」を示す絶好の例があるとすれば、それはドナルド・トランプの米大統領への選出だ。政治経験ゼロ、大げさなほど自信に満ちた主張と公約、その両方をもって大統領に就任した。
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編集=木内涼子

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