NYファッションの最新トレンド、各ブランドが「反トランプ」を発信

photo by Catwalking / gettyimages

米ニューヨークで先ごろ開催されたニューヨーク・ファッション・ウィークは、ここ数年の同イベントとは異なる空気に包まれていた。これまでに比べてずっと落ち着いた、より知性に訴えかける雰囲気が感じられた。

ファッション業界は恐らく、ブロガーやインフルエンサーたち、ファッションセレブたちの台頭に対抗する方法を見つけたのだろう。あるいは少なくとも、真に影響力を持つのは誰なのかを理解し、招待客のリストを本当に招くべき本質主義者たちに絞り込んだのだろう。

ファッションはまさに、体を覆うという基本的な目的以上の役割を果たす。そして、その時々の社会的風土を反映する。現在の社会の雰囲気を表現することを決意したとみられるデザイナーたちの多くは今回、政治や性別、人種などの問題に関する意見を明確に伝えようとするコレクションを発表した。

時代精神を表すメッセージ

発表された最新作は、主にドナルド・トランプの米大統領への就任と、「最高司令官」として実施してきた政策に対する考え方を表現するものだった。人工妊娠中絶への反対から移民制限、閣僚人事に見られる多様性の欠如まで、トランプが掲げる政策に対しては、多くの団体や組織が激しい抗議の声を上げている。

その一つが、非営利団体(NPO)「プランド・ペアレントフッド(家族計画連盟、PPH)を支援する米ファッション協議会(CFDA)だ。CFDAは、「ファッションはPPHをサポートする」と書いたピンクのバッジを作成して配布。Tome(トム)の新作を紹介したモデルたちは、このバッジを着けてランウェイを歩いた。

また、Tシャツで明確な意思を伝えたデザイナーたちもいた。例えば、alice + olivia(アリス アンド オリビア)は、「この世界に起きてほしいと望む変化に、自分自身がなりなさい」と、プラバル・グルンは「私たちを沈黙させることはできない」と訴えた。

最も目立ったのは、赤いキャップだった。Public School(パブリック・スクール)のデザイナー、ダオイー・チョウとマックスウェル・オズボーンは、選挙戦中のトランプのスローガン、「米国を再び偉大な国にする」を借用。キャップに、「米国をニューヨークにする」と書いた。


Public School コレクション (photo by Astrid Stawiarz / gettyimages)

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編集 = 木内涼子

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