ビジネス

2017.02.16 17:00

音楽と新聞、スポティファイとNYタイムズ提携に浮かぶ「暗雲」


状況を改善する上で支障となっているのが、NYTの社内事情だ。同社は全社的な予算削減や早期希望退職者の募集を行っており、このことが同社の音楽コンテンツ戦略に大きな影響を及ぼしている。同社が最近発表したデジタル分野の取組みに関する社内レポートでは、「音楽」や「ストリーミング」という文言は一切使われていない。

トランプ政権発足以降の政治状況も、音楽コンテンツの減少に拍車を掛けている。NYTに限らず、音楽専門誌の「ローリングストーン」や「スピン」ですら、ポップカルチャーやセレブリティ関連のページを削減し、トランプ政権に関する特集に力を注いでいる。

学術誌「コロンビア・ジャーナリズム・レビュー」によると、ローリングストーンが掲載したJerry Falwell Jr.(トランプ大統領が任命した教育改革の責任者)に関する記事のリツイート数は、同誌のビヨンセ妊娠のスクープ記事の2倍もあったという。このことからも、各社が道徳的な動機からだけでなく、ページビューが稼げるというビジネス的な計算から政治コンテンツに注力していることがわかる。

こうした懸念材料はあるものの、スポティファイとNYTの提携は、音楽とジャーナリズムの融合に大きく貢献することが期待される。目先の業績を上げるためだけに音楽を利用したとなれば、NYTのブランドは毀損しかねない。そうならないためにも、NYTは良質な音楽コンテンツを作成し、スポティファイは露出を高める施策を実行する必要がある。

編集=上田裕資

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