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2017.02.13

テスラCEO、賃上げ要求に反発 「労働組合の回し者」発言も

テスラのイーロン・マスクCEO(Photo by VCG/VCG via Getty Images)

テスラのイーロン・マスクCEOは、従業員がブログで賃上げを要求した問題で、この従業員は「労働組合の回し者だ」と受け取れる発言をした。

カリフォルニア州フリーモントのテスラの組み立て工場で4年にわたり勤務中のJose Moranと名乗る人物は2月9日、Mediumの投稿で「テスラ工場での報酬は時給17ドルから19ドルの低賃金で、超過勤務も多く、労働環境も劣悪だ」と述べた。さらに、会社側から不満を口外しないことを誓約する契約書へのサインを求められたと訴えている。

全米自動車労働組合(UAW)は2月10日、従業員と話し合いを行っていることを認め、他の従業員にもこの動きに加わるよう呼びかけている。

マスクはこの件に即座に反論し、ギズモードに宛てたメールでこう述べた。「彼はテスラの従業員というよりむしろ、組合から報酬を貰ってテスラに忍び込み、組合側の主張を騒ぎ立てている人間だ」

マスクのこの発言に対し、デトロイト本拠のUAWは強く反発した。フリーモントの工場は2010年のテスラによる買収以前は、トヨタとGMが運営する合弁工場「NUMMI」だった。その工場で労働者らを束ねていたのがUAWだった。

UAWは声明で「Moran氏はUAWのメンバーではなく、UAWから報酬など受け取っていない」と述べた。

「我々はテスラがMoran氏や他の従業員らに対し、偽の情報を広めたことで、謝罪することを求める。我々はMoran氏や他のテスラ従業員からアプローチを受けており、これを歓迎している」

UAWの組合員数は過去数十年にわたり減少が続いている。現在のUAWの組合員数は約40万人だが、これは1979年の150万人から大幅な減少になっている。フリーモント工場は現在、米西海岸では唯一の大型自動車工場で、約5,000人を雇用しており、UAWとしては彼らの支持を得ることで勢力を拡大したい狙いもある。

一方のテスラ側は今年後半に3万5,000ドルのModel 3の出荷を控えており、増産は急務だ。マスクは2018年後半までに、年間50万台の製造台数達成を目標に掲げ、2020年までに、年間100万台を製造したいとしている。

マスクは「Moranの発言は道義的に受け入れ難い」とも述べた。「コスト高の影響で今やテスラの工場は、カリフォルニア州でただ一つの自動車工場になった。その原因を作ったのがUAWなのだ。彼らのおかげで、トヨタGM連合が運営したフリーモント工場はつぶれた。2010年にUAWはフリーモントの労働者を見捨てたのだ。そんな連中に文句を言われる筋合いはない」

テスラはこれに先立ち、「弊社は以前に類似の案件でも、“組合のプロフェッショナルたち”のターゲットにされてきた」とも述べていた。

テスラは今月22日に、通期および2016年度の第4四半期決算発表を行う。

編集=上田裕資

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