なぜ2社だけ氷河期を生き残れたのか?/WAP牧野 x freee佐々木

ワークスアプリケーションズ・牧野正幸代表取締役CEO(左)とfreee・佐々木大輔代表取締役(右)

1996年に基幹業務ソフトウェアを開発し、今も業界を牽引し続けるワークスアプリケーションズ。その創業から16年後に、現在クラウド会計ソフトで業界シェアNo.1を誇るfreeeが設立された。この間、B to Bのソフトウェア業界は長い氷河期の中にいたという。

業界の先駆者であるワークスアプリケーションズ・牧野正幸代表取締役CEOは、氷河期をどのように生き延び、freeeの登場をどのように見ていたのか。また、freee・佐々木大輔代表取締役は、なぜ氷河期のなかにあってソフトウェア業界で成功を収めることができたのか。二人に話を聞いた。


牧野正幸(以下、牧野):実は、雑誌のインタビューなどで「注目しているB to Bのソフトフェアの企業は?」と聞かれるたびに、「freee」と答えていたんです。実際に佐々木さんとお会いできたのはつい最近ですが、freeeのことは、2013年にサービスを開始された当初から注目していました。

佐々木大輔(以下、佐々木):ありがとうございます。

——牧野さんは、freeeのどのようなところに注目されていたのでしょうか。

牧野:弊社がB to Bのソフトウェアを開発する企業として創業したのが1996年でした。ここ10年ほど、ベンチャー企業の勢いが強まっている一方で、弊社と同じことをする企業はほとんど出てきていなかったんです。freeeが出てきて、自分たちと同じ分野で、久しぶりに大型のベンチャーになりそうな企業が登場したな、と期待して見ていたんです。

——ワークスアプリケーションズやfreeeのような会社が出てきづらい理由はあるのですか?

牧野:一番大きな理由は、資金面での問題ですね。資本金0円からつくれることもあり、ITベンチャーの企業数はどんどん増えています。しかし、弊社やfreeeのような会社は、プロダクトをつくらなくてはいけないので、研究開発費など、リリースするまでに多額の費用がかかります。

そのうえ、食品などとは違い、大量生産して売りさばいて収益を出す種類の製品でもない。また、一度ものができあがれば終わりではなく、絶えず機能強化をし続けなければいけないので、結果が見えにくいんです。こういう予測しづらいプロダクトにお金を出してくれるベンチャーキャピタルがほとんどないから、資金集めが難しく、起業しにくいのです。

freeeが出てきたときには、事業内容もさることながら、佐々木さんが上手に資金を調達されたことに対しても「すごいな」と感じました。

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——牧野さんの会社は、設立当初、資金面の問題をどのように克服されたのでしょうか。

牧野:資金集めに対しては、うちも最初はネガティブな反応をされてしまって苦戦しました。しかし、その時期にベンチャーキャピタルを立ち上げたばかりだったグロービスが、運良く弊社に出資してくれたんです。グロービスという大きな後ろ盾を得たことで我々のモチベーションが上がり、計画通りに事業を進め、成果を出し続けることにもつながった。その結果、資金も集めやすくなる、という好循環に入っていったんですね。時の運もありました。
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インタビュー=谷本有香 構成=吉田彩乃 写真=藤井さおり

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