テスラ従業員が賃上げ要求「時給17ドル」では生活できない

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テスラの従業員が賃上げを要求している。サンフランシスコのベイエリアの工場で働く従業員が自身のブログの投稿で、全米自動車労働組合(UAW)に対し、テスラの賃上げや職場の安全環境の改善について、助けを求めた。

今回の申し立てはテスラ社にとって非常に重要なタイミングでなされた。テスラは今年後半に3万5000ドルのModel 3の出荷を控えており、その実現のためにはかなりの増産が必要だ。

Mediumに掲載した投稿で、Jose Moranと名乗る従業員は「カリフォルニア州フリーモントの工場で4年間、勤務してきた」と述べている。彼は誇りをもって仕事をしてきたが、増産にむけてのプレッシャーの中で職場環境の改善が急務だと訴える。

「私の5000名以上の同僚らは毎週40時間をはるかに超えて働き、残業も義務付けられている。テスラを成功に導くための我々の労働は、大変な重労働であり、肉体を危険にさらしている。職場での怪我も度々発生している」

Moranによるとテスラの工場での時給は17ドルから21ドルで、全米平均の時給25.58ドルを下回っているという。「この賃金では家族を養っていけない」と彼は述べている。

彼が住むアラメダ郡はシリコンバレーのベッドタウンで、子供二人を養うには、時給28ドル以上は必要だとMoranは述べる。「同僚の多くは通勤に二時間もかかる場所に住んでいる。この賃金では工場に近い場所に住むことは不可能だ」

Moranは同僚らと話し合った結果、自動車労働組合に助けを求めることにした。「テスラ側からは昨年11月に賃上げの提案があったが、会社側はその条件として機密保持契約へのサインを求め、賃金や職場環境について公の場で話さないよう求めてきた」

その後、今年1月には5名の労働者らがテスラ宛に書簡を送り、「このような要求は労働者の権利を侵すものだ」として、契約書の文言の撤回を要求した。テスラはMoranのブログ上での申し立てに対し、明確な回答は避けている。

「カリフォルニア州最大の製造業の雇用主として、当社はこれまで数千名もの雇用をベイエリアで創出してきており、このような訴えを組合から受けることは過去にもあった」とテスラは声明で述べた。

「従業員の安全と仕事の満足度を向上させることは当社にとって非常に重要な課題であり、従業員とは時間をかけて話し合いを行ってきた。今後も当社はその取り組みを継続させていく」

Moranが勤務する工場は西海岸で最大規模の製造拠点であり、2010年にテスラが同地を買収して以来の重要拠点だ。昨年5月、全米自動車労働組合で代表を務めるデニス・ウィリアムズはUSA Todayの取材に対し、「我々はテスラの動きを注意深く追っている。労働者らは自らの権利を主張すべきであり、彼らには団体交渉権がある」と述べていた。

テスラのイーロン・マスクは2018年後半までに、年間50万台の製造台数達成を目標に掲げているが、これは2016年の5倍以上の台数だ。テスラは2020年までに、年間100万台の製造台数の達成をゴールとしている。

編集=上田裕資

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