書簡では、イスラム圏7か国の市民の入国を禁じる先月27日の大統領令に対する「深い懸念と反対」を表明。米国内のバイオ医療研究者6万9,000人の52%が外国出身だとした調査結果を引用した上で、入国禁止令は新薬開発でトップに立つ米国の地位を著しく損なう恐れがあると警鐘を鳴らしている。以下に書簡からの抜粋を紹介する。
「トランプ政権の禁止令は7か国を対象としたものだが、私たちの世界各国の従業員らは、その根底には『米国はもはや、いかなる移民も歓迎しない』というメッセージがあると解釈している。同様の命令が他の国を対象にいつ出されてもおかしくないとの不安を募らせ、出身国にかかわらず単に宗教を理由に烙印(らくいん)を押され、差別されることを恐れている。
従業員からは、国外退去を恐れる声や、海外出張への不安、国外に住む家族と隔絶させられたと感じるとの声が、私たちの一部の元に寄せられている。
全ての国は入国管理の権利を持ち、自己防衛とテロリスト対策のための警戒措置を必要としている。だがトランプ政権が取った措置は、粗略に計画・施行されたものだ。多様性、そしてアイデアと人材の自由な流れをもってして米国を医薬品大国に成長させたバイオテクノロジー業界では、この措置を受けて深い恐怖と懸念が広がっている。
米国は、誤った考えに基づくこの政策を撤回しなければ、21世紀の世界を形作る最も重要な分野の一つにおけるリーダーとしての立場を失う恐れがある。この政策は、小規模な企業やスタートアップが多数を占める産業を害するものだ。現政権は、まさにこうした産業への支援を表明してきた。この政策は、私たちを苦しめる多くの病気との闘いを減速させると同時に、米国の経済に悪影響を及ぼすだろう」
書簡の署名者には、オビド・セラピューティクスのジェレミー・M・レビンCEOや、デシベル・ファーマシューティカルズのスティーブン・ホルツマンCEO、アルニラム・ファーマシューティカルズのジョン・マラガノリCEO、アコルダ・セラピューティクスのロン・コーエンCEO、オンコメド・ファーマシューティカルズのポール・J・ヘイスティングスCEO、ゼンコーのバシル・I・ダヒヤトCEOが含まれている。