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2017.02.06

IPO申請のスナップ、上場時の株式購入を賭けとみる3つの理由

Photo by Astrid Stawiarz/Getty Images

消えるメッセージのやりとりを可能にし、その後も新たな機能を追加してきた「スナップチャット」を運営するスナップは2月2日、新規株式公開(IPO)に向けて米証券取引委員会に上場申請書類を提出した。そのサクセス・ストーリーは、ベンチャー企業の支援を受けるテクノロジー関連企業の上場が相次いだころのように、IPO市場を再活性化するきっかけとなるかもしれない。

上場すれば、スナップの時価総額は200億ドル(約2兆2,500億円)に達するとみられ、新興成長企業の株価水準の妥当性を見る株価売上高倍率(PSR)は、5倍になると予想されている。

ただ、そのスナップには強力なライバルであるフェイスブックがおり(フェイスブックのPSRは約15倍)、上場が実現しても当面、スナップ株は買わない方がいいかもしれない。特に説得力がある具体的な理由は、以下の3つだ。

1. 損失

フェイスブックや競合他社がサーバファームを保有している一方で、スナップはサーバーもストレージも自前ではない。そして、スナップは多額の資金を失っている。2015年の損失額は約3億7,300万ドルだったが、2016年は約5億1,400万ドル。さらに、上場申請時に提出した書類によると、スナップのフリーキャッシュフローは2015年12月末で3億2,580万ドル、2016年12月末で6億7, 770万ドルだ。

IPOによって数十億ドルの資金調達が可能になり、生き残っていくことができたとしても、多額の損失や現金燃焼率の上昇は、スナップの利益性に疑問を持たせる。

2. シェア低下

時価総額の上昇によって成長に拍車がかかったとしても、投資家たちは競合他社の影響によって、同社の成長が減速する可能性を警戒しなければならない。 フェイスブックのインスタグラムはスナップチャットをまねた機能を多く持っていることから、ソーシャルメディア・マーケティングに関する情報を提供する専門サイト「ソーシャルメディア・エグザミナー」は、フェイスブックがスナップチャットのシェアを奪うことになると指摘している。
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編集=木内涼子

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