女性のキャリアを阻む「ガラスの天井」 給与は男性の75%という調査結果

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企業の調達関連をサポートするプロキュアメント・リーダーズ(Procurement Leaders)が大手企業幹部を対象に実施した給与調査で、女性が幹部職に就くのは依然として難しいという結果が示された。

2012年に開始したこの調査は、企業で調達にまつわる仕事をしている1,300人超を対象にしたもので、幅広い業種や地理(主に北米と西ヨーロッパ)をカバーしている。今回で5回目となるが、一貫して大規模な多国籍企業の中に「ガラスの天井」が存在することを示す明らかな証拠を発見してきている。

2017年の女性の給与は男性の75%となる見通しで、この差は調査依頼、変わっていない。雇用主からのあからさまな差別はないが、女性がトップレベルに上り詰めることが抑制されていることは、ガラスの天井の存在を示している。

最新の調査結果では、最上級レベルの職責に占める女性の割合はわずか10%だった。入門レベルの仕事では男女の分布はより均等で、例えばバイヤーのうち女性は45%だった。最上級レベルでの女性が少ないことは、言うまでもなく性別の差によって予想収入が異なることを示している。

また、2016年版では、最上級レベルの職務(CPO=最高調達責任者)に限らず5つのレベルのそれぞれにおいて、女性は男性よりも報酬が少ないことが判明した。2017年の調査では女性CPOの収入が男性を上回っていたが、上級レベルの女性が少なすぎるために、統計的に男性との比較は難しい。

それでもこれまで数年間の調査を通して、女性が男性よりも給与が低いことについては明らかかつ説得力のある証拠がある。

しかし、それが企業だけの責任だと主張するのは不公平だろう。多くの企業は積極的に女性を登用し、柔軟性のある労働時間など“女性にやさしい”制度の導入も目指している。残念ながら、問題はもっと根本的なところにあるのだ。その結果、女性はキャリアか家庭かという難しい選択に直面する。

そして結局のところ、女性は子育てなどのために長期にわたって仕事を休む選択をせざるを得ず、この基本的な差が全体としての男女のキャリアの差に影響する。もちろん例外もあり、男性が専業主夫になる例も増えてきている。だが統計的には、これらの負担は主に女性の肩にのしかかる。

それでも野心的な女性には、給与の高い仕事を追求するチャンスがあり、企業側も有能な人材は喜んで登用する。だがこうした道を選ぶには、人生のそのほかの分野でその代償を払うことになり、多くの女性はこの道を選びたがらない。そうした“重荷”がない男性は、私生活で何ら代償を払うことなく出世の階段を上っていくことができる。

結果的に、男性に比べて女性の報酬は75%の水準に落ち込んでしまう。これは当サイトのこれまでの調査結果と同水準であり、そのほかの各種調査結果とも似通っている。

各企業が単独でこの問題を解決することは期待できない。実際、できる限り幅広い人材の中から幹部を選ぶ必要がある企業側もまた、犠牲者であると言うことができる。現在、各企業の経営陣には、優秀で人々に刺激を与える存在になる多くの女性が欠けており、彼女たちの視点が欠けていることが企業に金銭的な影響を及ぼす可能性がある。

先日実施されたある研究によれば、経営陣に女性がより多い企業の方が、そうではない企業よりも業績がいいという結果が示された。上級レベルの人材に多様性がないことは、企業にとって競争上の優位性を失うことになる可能性があるのだ。

幹部職により多くの女性を起用することは、社会が対処すべき問題なのだ。ガラスの天井は市場のひずみや、非効率な資源配分につながっている。社会全体の問題として取り組んでいかない限り、改善されることはない。

編集=森 美歩

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