ローンチ時にマリオランは10ドル(日本では1200円)の「買い切り型」の有料ゲームとしてリリースされた。アップルのアップストアでは無料ゲームとして表示されていたが、しばらくやり込むと突然10ドルを要求される仕様には、一部のユーザーから苦情も出ていた。
当時、筆者は「任天堂はマリオランを10ドルのプレミアムゲームとして公開することで、マリオのブランド力の毀損を防いだ」との持論を展開したが、フォーブスの同僚記者のポール・タッシは「無料ゲームとして公開していたとしても、大した違いは無かった」と指摘した。下記が当時の彼の文章だ。
「任天堂がスーパーマリオランをフリーミアム型で提供していたとしても、ブランドを毀損することはなかっただろう。ゲームの内容や醍醐味を何ら変えることなく、ラリーチケットやコインを集めるために課金することは十分可能だ。
そもそも、キノピオラリーで何度も勝たなければキャラクターをアンロックできないのは、フリーミアムゲームの仕組みと同じだ。筆者は当初から任天堂がフリーミアム型を敬遠している理由が理解できなかったが、アプリリリース後のレビューを見てその思いを一層強くしている」
筆者は彼のこの発言に感化され、マリオランのアンドロイド版は、無料ゲームにすべきだという思いを強めている。アンドロイドでは海賊版も横行し、プレミアムゲームとしてのマネタイズには苦労しやすい。
無料ゲームのマネタイズに関してはいくつもの前例がある。ポールが指摘するように、キノピオラリーのチケットに課金したり、スキンや体力回復アイテムの販売も可能だろう。任天堂にはゲームのコア部分は無料にしつつ、ゲーム内課金で稼ぐ方法がいくらでもあるのだ。
スーパーマリオランを無料ゲームとしてリリースすることはアンドロイドユーザーだけでなく、アナリストや任天堂の株主らもハッピーにするだろう。無料ゲーム化したほうが任天堂はより多くの利益を得られるのだ。たとえ、一部のiPhoneユーザーらが腹立たしく思ったとしてもだ。
任天堂が今後も一部のゲームをプレミアム型でリリースすることには反対ではない。しかし、その場合はマリオランのiOS版の時以上に慎重な姿勢が求められる。アップストアで「無料」と表示されていたゲームが、3ステージを進んだ後に突然、課金を要求されるような事態は防ぎたい。
モバイルゲームの世界では無料プレイがスタンダードであり、アンドロイドにおいては特にその傾向が強いのだ。