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中国政府は近年増加を続ける海外に向かう旅行者たちを、自国が海外と交流を行う手段の一つと考えている。言い方を変えると、ソフトパワーということになる。李克強首相は、昨年5月の北京の世界ツーリズムカンファレンスで、その考えを明らかにした。

ソフトパワーという概念は2007年、胡錦涛前主席の中国共産党第17回全国代表大会での演説で初めて登場した。2008年の北京五輪、2010年の上海万博、そして世界に500以上ある孔子学院、海外での中国系テレビ局の設立は全て、国のソフトパワー戦略の一部である。中国と中東の協力の下地となっている「一帯一路」構想も、その延長にある。

しかし、中国の頼みの綱であるはずの海外旅行者は、少なくとも欧米諸国では政府の期待に応えていない。中国政府は2006年から、海外旅行者の教育に取り組んできた。「海外旅行者のためのエチケットとルール」というパンフレットを作成したほか、ツアー業者らも「中国の大使としてマナーを守り、国のイメージを損ねないこと」と書かれた誓約書への署名を人々に求めている。

また、中国航空運輸協会はブラックリストに掲載された旅行者の名前と写真をメディアに公表し、海外便への搭乗を2年間禁ずるなどの罰を設けようとしている。

しかし、これらの努力は一部の中国人旅行者には全く響いていない。彼らにとって、ルールとはお金でひっくり返せるもので、二度と行かない場所は何をしてもいい場所である。

2016年も中国人旅行者による無法行為が繰り返された。不機嫌な乗客が水の入ったコップや熱い麺をキャビンアテンダントに投げつけた。飛行機から早く降りたいという理由で非常ドアを開けた者もいる。クリスマスには、北海道の空港で雪で足止めを食らった100人以上の旅行者が警察と乱闘を繰り広げた。

香港、韓国、そして台湾では、中国人団体客を入国させないよう署名運動が展開された。東京では中国人観光客がホテルの部屋から温水洗浄便座を持ち去る騒動も起こった。

しかし、これらの無法者は、中国人海外旅行者の少数派であることも事実だ。大多数のまともな個人旅行者は、「騒がしい」「無礼」という中国人旅行者のイメージを変えようとしている。だが、英語が話せる旅慣れた中国人は目立たず、中国人とすら認識されないことがほとんどで、アジアのほかの国の人か、あるいは米国育ちの中国人と思われてしまう場合もある。

編集=上田裕資

 

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