米国特許商標庁(USPTO)が公開したアマゾンの特許資料(9,547,986番)は、自動運転車両の走行状況をシェアする仕組みについて規定している。このようなシステムは主にハイウェイ上を走行する車両を想定すると考えられがちだが、この特許は車以外にヘリコプターや地下鉄、航空機やボート等、あらゆる種類の乗り物への適用を想定している点が特徴的だ。
アマゾンがこの仕組みを具体的にどう活用するかは明らかではないが、同社が既に自社ブランドの輸送トラックを用意し、物流に用いていることを考えると、自動運転の導入は必然的な流れに見える。アマゾンにこの特許の詳細に関する回答を求めたが、本原稿執筆時点で返答は得られていない。
2016年にウーバーは自動運転トラックのスタートアップ企業Ottoを推定6億8000万ドルで買収し、同社が物流分野への進出を企んでいることが明らかになった。アマゾンにとって効率的な物流の整備は必須の課題であり、可能な限り迅速に商品を顧客に届けるために、この分野のテクノロジーに注力することが求められている。
ハイウェイ上に自動運転車両を導入することは、混雑した都市部の道路への導入に比べると比較的容易だと見られているが、アマゾンの今回の特許には実際にこのテクノロジーを導入するにあたり、自動運転車両が他の車両とスムーズにコミュニケーションを行う上で解決すべき課題が提示されている。
アマゾンが本拠を置くシアトルでは混雑解消のため、ハイウェイのセンターラインの位置を時間帯によってずらす「リバーシブルレーン」の仕組みが採用されている。このような環境下で自動運転を行うにあたっては、車両が状況に応じ適切なレーンを検知し走行するシステムの構築が求められる。
アマゾンの特許資料には自動運転車両が車線変更を行う際に、道路管理システムにアラートを発信し、車両の流れをスムーズにする仕組みについても記載されている。
アマゾンは昨年、航空輸送ネットワークの構築計画を明らかにし、ドローンを活用した配送の実現に向けたテストを繰り返している。さらにアマゾンは今後、アウディ、BMW、ダイムラーの3社が買収したデジタル地図企業「HERE」へ大規模な出資を行うとの噂も出ている。自動運転トラックの物流への導入は、同社のロジスティクスの発展を考える上で非常に理にかなった進化だと言える。