ビジネス

2017.01.20

中国発「乗り捨て自由」の自転車シェア、米上陸計画に地元反発

中国でBluegogoの自転車に乗る筆者(Photo by Liz Choi)


例えば、昨年末にタイのプーケットを訪れた私は、現地で免許証やパスポートを見せることなくレンタカーを借りられ、入店から5分後には街を運転していた。一方、米国で外国人が自動車を借りようとすると、免許の取得に数日あるいは数週間、そしてレンタカー店舗での手続きや交通ルールの説明に1時間はかかるだろう。

街中どこからでも自転車に乗って、ヘルメットを着用せずに歩道や公園内を走り、好きな場所に乗り捨てられるBluegogoのサービスは、米国では受け入れられないだろう。もし現行の形態でサンフランシスコに上陸するとすれば、毎日数百件の苦情が寄せられるに違いない。例えばこんな具合だ。

「店の入り口に誰かが自転車を止めていて邪魔だ」
「消火栓に自転車を止めたやつがいる」
「家のすぐ近くに放置自転車が4台もある」
「あの人はなんで自転車を物色しているんだろう…盗む気かな。大変だ、自転車に乗って走り去った! 警察に通報だ!」

とはいえ私は、官僚主義的な米国となんでもござれの中国のどちらかが他方よりも優れていると言いたいわけではない。米国のお役所手続きに嫌気がさしたこともある一方で、企業にきちんと責任を負わせるという姿勢は素晴らしいと思う。中国では食べ物にあたって1か月体調を崩したとしても、責任の所在はうやむやのまま終わってしまうだろう。

乗り降りの場所が完全に自由な自転車シェアリングというBluegogoのコンセプトは、リスクがあるとしても、素晴らしいものだ。私は深センで同サービスを試した時、ニューヨークやサンフランシスコでも同じことができたらどんなに楽しいだろうと感じた。

だが、事業展開の公式発表もしていないうちに物議を醸してしまったBluegogoが、米国の官僚主義の壁を克服することは難しいだろう。もし解決策を提示できずにサンフランシスコ当局から締め出しを食らえば、中国のスタートアップ企業各社にとっての教訓となるだろう。米国と中国の文化は違うのだ。良くも悪くも。

翻訳・編集=遠藤宗生

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