「見た目の悪い」バナナを有効活用、オーガニック・スナック事業が急成長

Tatiana Volgutova / shutterstock.com

世界中で生産される食料の3分の1は、廃棄されているという。中でも野菜や果物は、廃棄される割合が最も高い。見た目が悪いという理由で商品にできないものだけでも、年間収穫量の平均20%に上る。

こうした食品や資源の無駄を解消するための方法として、「アップサイクル」への注目が高まっている。リサイクルとは異なり、廃棄物になる可能性があった食品を原料として使用し、より高価値の製品を新たに生み出すという考え方だ。

ブラジル出身のカウレー・スプリーシーと、サンディエゴで出会ったマット・クリフォード、ニック・イングレソルは2010年、中南米産のオーガニック・バナナの廃棄量の削減と、“食べずにはいられない”バナナ・スナックの製造・販売を目指し、「バーナーナ(Barnana)」を立ち上げた。

製品の基本となる乾燥バナナは、ブラジルで育ったスプリーシーの家族が1981年から自宅で作ってきたものだ。プロのトライアスロン選手として南カリフォルニアに移り住んだスプリーシーは、そこでも同じ乾燥バナナを作り、友人や各国のアスリートたちに紹介した。

2010年に競技から引退したスプリーシーは、健康的なスナックとして非常に評判がよかった乾燥バナナを世界中に広めるために起業を決意。クリフォード、イングレソルと共同で、事業に乗り出した。スプリーシーは、「それぞれの強みを持ち寄ることで、バランスの取れたチームができた。僕一人では一か月以上かかったことが、3人なら一週間で達成できた」と話す。

3人はまず、ペルー、メキシコ、エクアドルなど中南米の各国を回り、原料のサプライヤーとして提携できる農家を探すことから始めた。スプリーシーによれば、「オーガニック栽培のバナナの輸出量が最も多いエクアドルは、廃棄量も最も多いはずだと考えた」という。

農家との提携の条件は、米農務省 (USDA) のオーガニック認証を受けていること、従業員の労働環境が公正で平等であること、農園での廃棄量を減らすという3人の願いに賛同してくれることだ。
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編集 = 木内涼子

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