話題の「グルテンフリー食」、単なる流行の可能性も

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小麦などの穀類に含まれるタンパク質の一種、グルテンへの免疫反応が原因の自己免疫疾患「セリアック病」と診断される米国人は2009年以降、大幅には増えていない。それにも関わらず、グルテンの摂取を避ける人が急増していることが分かった。

セリアック病の人がグルテンを含んだものを食べると、免疫反応によって小腸に損傷がもたらされ、栄養素が適切に吸収されなくなる。一方で、そのセリアック病ではないと診断されたにも関わらず、グルテンの摂取を避ける食餌療法「グルテンフリー・ダイエット」を習慣にしている人たち(PWAG)は310万人以上いる。そして、グルテンフリー実践者に占めるPWAG の割合は、72%に上っている。

PWAGが過去5年にわたって増加し続けている理由には、グルテンが原因で健康上の問題が起きていることを疑う人が増えているということがある。

だが、PWAGは問題がなくても重大な病気にかかっていると不安を募らせ、体の不調を訴える心気症患者だと批判する向きもある。話題になっている病気について正しく理解していないにも関わらず、流行に乗っているというのだ。

米有数の総合病院、メイヨー・クリニックの調査によると、セリアック病とグルテン過敏症、グルテン不耐症のいずれでもない人がグルテンフリーの食餌を続けることにどのような利点があるか、今のところ明らかになっていない。ただし、鉄分やカルシウム、繊維質の摂取量が不足する懸念は指摘されている。

それでも、グルテンフリーの食餌によって健康状態が改善したと主張する人は多い。セリアック病以外のグルテン関連の健康問題についての研究は、今後さらに進められていく見通しだ。その結果が明らかになれば、グルテンを避けることは単なる最近の流行なのか、根拠のある治療方法なのかという議論も収束することになるだろう。

グルテンフリー実践者に占めるPWAGの増加

各年に続いて記載した数字(%)は左から、グルテンフリー・ダイエット実践者に占める「PWAG」「セリアック病の診断を受けていない人」「セリアック病と診断された人」の割合。かっこ内は、人口に占める実践者の割合。

2009~10年 44%/ 51%/ 5% (1.3%)
2011~12年 56%/ 35%/ 9% (1.8%)
2013~14年 72%/ 12%/ 16% (2.4%)

出典: メイヨー・クリニック

編集 = 木内涼子

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