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ユーザー数7億6800万人を誇る中国のメッセージアプリ「WeChat (ウィーチャット)」の運営元のテンセントは、独自形式のアプリのリリースを発表した。これらのアプリはMiniプログラムと呼ばれる独自OSを採用。iOSやアンドロイドアプリとは違い、インストール無しで使用できることを特徴としている。WeChatの生みの親である張小龍(Allen Zhang)は次のようにコメントした。

「Miniプログラムの技術は、ダウンロードやインストールの手間をかけず利用可能なアプリを実現した。ユーザーはQRコードのスキャンや、検索からアプリにアクセスし即座に利用できる。スマホの画面がアプリだらけになる心配も無い」

MiniプログラムのアプリはWeChatのエコシステム内で稼働し、中国人プログラマたちが開発負担を抑えつつ、アプリの開発を行なえる。テンセントにとってこのアプリは、ユーザーをアンドロイドやiOSアプリの利用から遠ざけ、WeChatのエコシステムに囲い込み、自社の優位性をさらに強固なものにする狙いがある。

現状で中国人のモバイル利用時間の35%はWeChat内での活動に費やされており、運営元のテンセントのサービスの利用時間は55%に達している。配車アプリの「滴滴出行」(ディディチューシン)や翻訳アプリなどが、すでにこのプラットフォームに対応している。

強力な来店促進ツールとなる可能性

Miniプログラムは今後、テンセントに様々な収益機会をもたらす。アプリ内広告やアプリのホスティング費用、アクセス解析やアプリ内の決済収益などだ。アップルのアップストアやグーグルプレイで実施されている、検索広告の収益も見込まれる。

一つ意外な点として挙げられるのは、テンセントがこのプラットフォームの立ち上げにあたり、「専用のアプリストアは開設しない」と宣言していることだ。ユーザーらはWeChat内の検索やQRコードのスキャンにより、利用するアプリに辿り着く。配信中のアプリ一覧はminapp.comのようなサードパーティのサイトで確認可能となっている。

ただし、テンセントがアップルをライバル視していることは確実だ。同社はiPhone誕生10周年の今年1月9日に今回のアナウンスを行ない、コメントでスティーブ・ジョブズの偉業を讃えた。

Miniプログラムは今後、中国のマーケティング分野で強力な来店促進ツールとしての活用も期待される。各企業はWeChatの公式アカウントを通じ、自社のアプリの利用をユーザーに呼びかけている。Miniプログラムは今後O2OやEコマース分野にパラダイムシフトをもたらすことになる。

今回の動きはテンセントがアプリ配信の分野で、アップルやアンドロイドと肩を並べる中国で最初の企業となる事を示している。MiniプログラムのアプリはWXMLやWXSSといったプログラミング言語を用いており、HTML5 やCSSと類似点もあるが互換性は無い。

編集=上田裕資

 

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