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アマゾンが持つ「1-Click注文」の特許は、同社に長年多額の収入をもたらしてきた。しかし、その特許が2017年に期限切れをむかえ、多くの通販サイトが同様の機能を取り入れると見られている。

アマゾンがこの特許を申請したのは1997年で、1999年には特許が認められた。「1-Click注文」はあらかじめ支払い情報と住所を登録することで、ボタンをクリックするだけでショッピングカートの画面を経ずに注文できる機能だ。注文完了までのステップ数が少ないため、時間を節約し“煩わしさのない(frictionless)”買い物を実現した。

この機能はアマゾンに24億ドル(約2,810億円)をもたらしているとの試算もある。注文時間を短縮するだけでもメリットがあるが、競合にないサービスを提供することが大きなアドバンテージとなっている。

実はアップルはアマゾンに非公開の特許使用料を払い、ワンクリック注文を実現している。アップルのアプリストアもアマゾンと同じように購入がスムーズだ。アプリをまずショッピングカートに追加してから購入画面に移るような手順では、売上は今ほど伸びていないだろう。そう考えるとアマゾンが特許を取ったのもうなずける。

「1-Click注文」がアマゾンの成長を牽引したことは疑いようがないが、この特許がどこの国でも認められているわけではない。ヨーロッパ特許庁はその機能について“当たり前すぎる”とし、特許を認めなかった。カナダも当初は特許を認めていなかったが、アマゾンが訴訟に持ち込んで勝訴し、2011年には特許が認められた。この一件でカナダでは特許出願のガイドラインを改定することになった。オーストラリアも複数の理由を挙げて特許の申請を却下している。

アマゾンにとっては特許が切れてもさほど大きな影響はないだろう。「1-Click注文」はネット通販の初期には強力なツールだったが、今のアマゾンにとってはそれほどの重大性は持たない。他のサイトが同じワンクリックでの注文を取り入れたとしても、それだけの理由でアマゾンから乗り換えるとは考え難いのだ。

編集=上田裕資

 

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