人生で起こること、すべて良きこと[田坂広志の深き思索、静かな気づき]

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では、いかにすれば、我々は、その「解釈力」を身につけることができるのか。

一つの覚悟を定めることである。

「人生で起こること、すべて深い意味がある」

その覚悟を定め、その意味を考えるという営みを続けるとき、我々は、自然に、人生で与えられた否定的な出来事の中にも、肯定的な意味を見出す力を身につけていく。「解釈力」と呼ぶべき真の強さを身につけていく。

では、どうすれば、その「解釈力」を、ゆるぎなきものにできるのか。

そのためには、一つの信を定めることである。

「自分の人生は、大いなる何かに、導かれている。この否定的に見える出来事も、大いなる何かが、自分を育てようとして与えたものに他ならない」

その信を定め、「この出来事は、自分に、何を学べと教えているのか」「この出来事は、自分に、いかなる成長を求めているのか」を考えることである。

もとより、そうした「大いなる何か」が存在するか否かは、科学では証明できない、永遠の問い。

しかし、過去を振り返るならば、優れた仕事を成し遂げてきた経営者やリーダーは、たとえ言葉にせずとも、心中深く、そのことを信じていた。

されば、その信を定めて歩み、人生における苦労や困難が、大いなる何かが自分を成長させるために与えたものと感じられるようになったとき、我々の心には、いつか、次の思いが浮かんでくる。

「人生で起こること、すべて良きこと」

編集 = Forbes JAPAN 編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.30 2017年1月号(2016/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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田坂広志の「深き思索、静かな気づき」

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