ビジネス

2017.01.07

ECと実店舗の「いいとこ取り」モデルで成功、米ジュエラーの場合

Nestor Rizhniak / shutterstock.com

ジュエリーのECサイト「リタニ(Ritani)」のマーケティング担当副社長、マーク・キーニーは、2016年12月20日と21日が同社にとって年内の売上が最も多い日になるだろうと予測していた。

もちろんこれは、多くのカップルがクリスマス前後に婚約し、男性たちが指輪を購入するからだ。キーニーはリタニに入社後、結婚を控えた男性たちは指輪を購入する前に実店舗を持つジュエリー店を平均5軒訪れてリサーチをするということを学んだ。

また男性と女性では婚約指輪に求めるものの優先順位が異なる。女性は「ほかにはない」「キラキラ光る」指輪を好み、男性は予算内で「正しい(つまり女性を満足させる)」指輪を望んでいる。

かつては卸売業者だったリタニは、こうした見識を得たこともあり、5,000万ドル(約59億円)規模のビジネスに成長した。婚約指輪、結婚指輪をはじめとするダイヤモンドジュエリーをオンラインで販売し、年間ビュアー数は800万を誇る。(2012年からは消費者への直接販売も開始している)。

とはいえEコマースには限界もある。婚約指輪の購入体験に関しては、伝統的に実店舗型の宝石店の方が有利だ。顧客にアドバイスを提供し、高価なジュエリーを試着させたりシャンパンを出すなどのサービスも行っているからだ。

自宅にいながらパジャマ姿でショッピングをするのに慣れているミレニアル世代にとってさえも、こうした要素が依然として重要なのだという感覚が、各販売店にはある。

そこでリタニでは、オンラインと実店舗、双方の“いいとこ取り”をする独自の「クリック&ブリック(オンライン通販と実店舗)」モデルを開発。店頭販売やポップアップ広告に投資して既存の宝石店との競争に“倍賭け”する代わりに、国内各地の独立した宝石店と提携し、顧客がオンライン注文した約1週間後に地元の宝石店で実際の指輪を下見できるようにした。

Eコマースの効率性と実物を直接自分の目で確かめるという実店舗の利点を組み合わせた戦略だ。実物を見た後に購入する義務はないが、キーニーは「販売契約の成約率はきわめて高い」と言う。
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編集=森 美歩

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