中国ITトレンド2大潮流 フィンテックも「政府主導」で進む

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Eコマースのアリババや傘下の決済アプリのアリペイ、配車アプリ「滴滴出行」(ディディチューシン)によるウーバーの中国事業の買収など、中国のテック業界の動向が世界の注目を集めている。欧米企業は今やWeChatのようなモバイルアプリの成功から、何かを学びとろうとしている。ここでは2017年の中国のテック業界のトレンドを予測してみた。

政府が牽引するフィンテックブーム

中国ではクレジットカードを持つ人は少なく、多くの人がアリババのアリペイやWeChatなどスマホの決済アプリを使う。アーンスト・アンド・ヤングのリポートによると、中国の消費者の40%が、新たな決済手段を使っている。

中国政府は2020年までに新たなクレジットスコアシステムの導入を目指しており、この事もフィンテックの成長を支えるだろう。政府は国民の買い物履歴、ソーシャルでの行動、その他の金融データに基づいてクレジットスコアを設定し、金融ローンだけでなく公務員の採用、旅行できる国などあらゆる審査への適用を計画中だ。

プライバシーを侵害しているとの批判もあるが、アリババグループのアリペイや芝麻信用など8社がすでに、政府システムに組み込める信用スコアシステムを開発中だ。

また、P2P金融セグメントも引き続き成長が続くだろう。中国最大の消費者金融サイトの一つで、クレジットスコアを持たない中間層を対象にしたChina Rapid Finance(上海信而富企業管理)は既に100万人以上にローンを提供中だ。

一方で新興企業への資金流入は減っている。2015年には大量の資金がベンチャー領域に流入し、10億ドル以上の評価がついた中国企業が19社もあった。しかし、その数は2016年11月時点で11社に減った。減少の流れは2017年も引き続くと見られている。

香港証券取引所に昨年12月初めに上場した自撮りアプリの「美図(Meitu)」は、IPOによって46億ドル(約5,390億円)を調達したが、調達額は予想を下回った。今後は資金の多くは、自動運転やAIセグメントに投じられると予測されている。
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編集=上田裕資

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