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2016.12.28

「おもてなし」が労働生産性を下げ、長時間労働を増長させる?

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要求が高く、細かく、厳しい日本の顧客に鍛えられたおかげで、日本の高品質サービスは「高級ブランド品」となった。それ自体は誇らしいことだが、問題は顧客がそれに対して相応の対価を払わないことである。海外ではそのような付加価値の高いサービスにお金を支払うのが当たり前だ。

日本の製造業の生産性はトップレベルだ。しかし、日本独特の「おもてなし」精神がはびこるサービス業が足を引っ張り、賃金の低下と長時間労働を増長し、日本の労働生産性は「先進諸国の中で最も低い」ことで有名になってしまっている。

もちろん、海外も高レベルのサービスを提供するところはある。しかし、例えばそれを提供する高級ホテルやレストランは、従業員の給料も高い。高品質のサービスにはそれなりの金額を払うことを客が心得ているので、サービスの質と対価が正比例し、従業員の給与に結びついているのだ。

日本人もそろそろ消費者の「便利さ」の代償が、労働者の働く環境を悪化させていることに気づくべきだろう。そこで日本がすべきことは、サービスレベルを下げるのではなく、サービスに対して相応の対価を払う意識を高めることだ。それが日本の労働者の賃金と労働生産性の向上につながっていく。

明日から個人でできることもある。多少の不便さを受け入れる、または、サービス提供者に感謝の気持ちを伝えることだ。そうすることで皆が気持ち良く、生産性高く働ける社会になるのではないか。

文=パク スックチャ

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