CB Insightsによると、これらのIPO候補に最も多く出資しているベンチャーキャピタルはアンドリーセン・ホロウィッツ(17社)で、リストに含まれるユニコーンへの出資も最多だという。2017年は同社にとって大型エグジットが相次ぎそうだ。
アンドリーセン・ホロウィッツの実績を見ると、シリーズAでの投資が最も多く、次いでシリーズB、シードラウンドとなっている。なお、アルファベット傘下の投資会社であるGV(旧名グーグル・ベンチャーズ)とCapitalG(旧名グーグル・キャピタル)の実績を合計すると、アンドリーセン・ホロウィッツを抜いてトップとなる。
2017年に大型IPOが予想されるのは、Blue Apron、MuleSoft、Qualtrics、Snap、Viceなどだ。369社がこれまでに調達した資金の総額は862億ドル(約10兆円)に達する。本拠地の所在地はカリフォルニア州が205社で最多となっており、次いでニューヨーク(54社)、ボストン(21社)となっている。
「2016年はIPO件数がもっと多くなると予想していたが、ブレグジットや米大統領選の影響で市場の動向を様子見する企業が多かった」とCB Insightsのマシュー・ウォンは分析する。ウォンによると、2016年は1億ドルを超える資金調達の件数や、ヘッジファンドや投資信託による投資額も2014年と2015年に比べて大幅に減少したという。
CB Insightsは2016年のIPO候補として531社を挙げていたが、実際にIPOや資金調達を達成した企業の割合は24%に過ぎない。残りの多くは、2017年にIPOや資金調達を行う段取りでいる可能性が高い。「今年は評価額を下げて資金調達をするダウンラウンドが多く見られたが、来年は環境が大きく改善するだろう」とウォンは話す。
巨大企業への事業売却も増加へ
2017年は、テック企業が大手事業会社に事業を売却するケースが増えることも予想される。2013年から2015年にかけては、テック企業にとって主なバイアウト先は同業大手だったが、2016年に入ってからユニリーバやウォルマート、GEといった伝統的な事業会社への売却が増えている。来年はこうしたトレンドがさらに顕著になるかもしれない。
IPO候補のリストをセグメント別に見ると、最も多いのがビジネス・インテリジェンスとアナリティクス関連で、次いでセキュリティ、会計、人事、広告、CRMとなっている。資金調達額が最も多かった分野はコンシューマー・プロダクトで、平均調達額は1億6,200万ドルとなっている。
CB Insightsは、企業の評価額、資金調達の回数と金額、ソーシャル・メトリック、雇用やリストラに関する発表などの情報を収集・分析して今回のリストを作成した。