ツイッターが「ライブ動画」追加 問題投稿が多発の懸念も

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ツイッターは12月14日、iOSとAndroid版公式アプリに、傘下のライブ動画配信アプリ「Periscope」の機能を統合させた。今後、ユーザーはツイッターアプリ上でライブ配信ができるようになる。

これまでのようにPeriscopeのアプリをダウンロードしたり、アカウント登録をする必要はなくなる。ライブ配信を視聴する場合、コメントやハートマークを通じて投稿者と交流が行なえる。また、ライブ動画付きのツイートをリツイートしたり、「いいね」やシェアすることも可能だ。今回のアップデートは、全世界のユーザーを対象に実施された。競合のフェイスブックもライブ動画配信機能を今年リリースしている。

「ツイッターの強みは、リアルタイムの共有性です。ライブ配信によりユーザー同士のエンゲージメントをこれまで以上に高めます」とPeriscopeのエンジニアリング部門を率いるサラ・ハイダーは話す。現段階では、フォローしているユーザーがライブ配信を行うと通知が届くようになっている。

ツイッター上でライブ配信を行うには、まずツイート作成アイコンをクリックし、「ライブ」ボタンをタップする。すると映像が映し出され、「ゴーライブ」ボタンをタップすると配信がスタートする。投稿した動画はツイッターとPeriscopeの両方で視聴することができる。ツイッターは今後もPeriscopeアプリを存続させるとしているが、いつまで続くかは不明だ。

過去には自殺場面がライブ配信された

Periscopeでは抗議デモや銃の発砲事件に関するニュースから結婚式や猫、スポーツイベント、オモシロ動画まで多彩な動画が配信されている。同社はツイッター上でもバラエティ豊かな動画が投稿されると予測しているが、今後は問題のある内容や、暴力的な動画が投稿されるのを防ぐためにガイドラインを明確に設定する必要があるだろう。

5月には10代の女子がPeriscope上で自らの自殺をライブ配信する事件が起きた。フェイスブックでも、7月にミネソタ州在住のダイヤモンド・レイノルズという女性が、黒人のボーイフレンドが警官に射殺される場面をライブ配信した。フェイスブックはこの動画を一時的に削除したが、約1時間後に「暴力的なシーンがある」という警告文付きで復活させた。PeriscopeのベイクプルCEOは、ガイドラインを常にアップデートしていると10月の記者会見で述べている。「動画の種類が多様になるにつれ、我々は倫理的に問題のあるコンテンツの取り締まりを強化している」とベイクプルは話す。

現在のツイッターのMAUは3億1,700万人だが、近年はユーザー数が伸び悩んでいる。ツイッターアプリにライブ配信機能を統合したことでユーザー数が増えることが期待される。しかし、どれだけ多くのユーザーがライブ配信を行なうかは不明だ。ツイッターは、ユーザーがより簡単に動画を投稿できるように努めているが、ハイダーによると、最大の障壁は「ユーザーの多くが、自分の動画はライブ配信する価値がないと思い込んでいる」ことだという。

「エベレストに登ったり、抗議デモに参加しなくても、価値のある動画を投稿することはできます。人は誰でも興味深いストーリーを持っており、経験を簡単に共有できるツールの必要性はこれまでになく高まっています」とハイダーは言う。

編集=上田裕資

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