スマホを銀行に変えるフィンテック企業「Juvo」 1億人の貧困層を救う

ティーブ・ポルスキー (photo by Alberto E. Rodriguez / gettyimages)


手数料や金利は発生しない

Juvoは、顧客のスマホやアプリの利用動向をリアルタイムで分析し、機械学習技術を駆使して「アイデンティティ・スコアリング」という独自のクレジットスコアをつけている。顧客には手数料や金利は発生しない。

顧客が借入と返済と繰り返して信用力が向上すると、シルバー、ゴールド、ダイヤモンドとランクが上がり、それに伴ってより高額な融資を受けることができるようになる。最初はヘッドホン代程度の金額からスタートするが、ゆくゆくは開業資金や学費を借りることができるようになるという。

ポルスキーは、将来的に信用度の高い顧客に対して通信キャリアや外部企業が保険などの金融サービスを提供することを目指している。Juvo自身がそうしたサービスを提供するようになる可能性もあるという。

ポルスキーによると、Juvoとの提携によって通信キャリアのARPUは10-15%向上し、解約率も劇的に低下したという。

「Juvoのアイデンティティ・スコアリングのお陰で、与信枠を12か月で100万ドル増やすという目標をわずか4か月で達成することができた」とCable & Wireless でプロダクト担当バイスプレジデントを務めるJames McElvannaは話す。McElvannaによると、アイデンティティ・スコアリングによって、当初懸念していた貸し倒れリスクを最小限に抑えることができたという。

ポルスキーはJuvoを創業する以前、5社のスタートアップの創業や経営に関わった経歴を持つ。その中には、通信会社向けに音声処理システムを提供する「VoicePlex」や教育用ソフトウェアを開発する「Edusoft」が含まれる。彼は、この他にも映画レビューサイト「Rotten Tomatoes」を運営するFlixsterでCOOを務めた。

「私は、これまでアーリーステージのスタートアップで、他人が嫌がる仕事を進んで引き受けてきた」と彼は言う。

Juvoはグアテマラで事業をスタートしたが、その後米国にも対象とする貧困層が多いことに気が付き、拠点をサンフランシスコに移した。世界中で同社の潜在顧客は少なくとも数億人はいるとポルスキーは見積もっている。「貧困層は、ローン以外にも預金口座や保険を必要としており、我々はそうしたサービスも提供していきたい」と彼は話す。

編集=上田裕資

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