トランプ次期大統領 (左)と投資家ウィルバー・ロス(右)photo by Drew Angerer / gettyimages

ドナルド・トランプ次期米国大統領(70)は、長年の親友である著名投資家ウィルバー・ロス(79)を商務長官に指名する予定だ。本稿では二人の25年以上に渡る交流を振り返ってみたい。

トランプは1990年4月、彼の3番目のカジノリゾート「トランプ・タージマハル」をニュージャージー州アトランティックシティにオープンした。ハイリスクなジャンク債で6億7,500万ドル(約770億円)を調達し、金利は14%だった。数ヶ月ほどで経営は行き詰まり、トランプは巨額の支払いに追われることになった。

その時、破産アドバイザーチームの債権者代表を務めていたのがロスだった。ロスはカジノを強制破産させ、トランプを債務から救い出そうと動いた。ロスはその頃、トランプが乗ったリムジンめがけ、群衆が押し寄せる様子を目撃し、トランプの人気ぶりに驚いたという。

ロスが提案した破産取引はこうだ。トランプはタージマハルの持ち株の50%を手放し、それと引き換えに支払い条件の緩和を受け、カジノの経営は継続する。トランプはその後も同種の取引を続けた結果、借金地獄から抜け出し、長者リスト「フォーブス400」に返り咲いた。

トランプの娘婿とエホバの証人ビルを購入

ロスは2000年にプライベートイクイティ企業WL Ross & Coを設立し現在も運営に関わるが、経営権は2006年に投資会社Invescoに約3億7,500万ドル(約430億円)で売り渡している。2013年にInvescoはトランプの娘婿のジャレッド・クシュナーらとパートナーシップを結び、2億4,000万ドルでブルックリンのエホバの証人の5つのビルを購入した。

トランプの資産は不動産が大半だが株式も所有している。2016年5月の報告書では25万ドルから50万ドル分のInvesco株を保有している(トランプは今年6月に株は売却したとしているが、証拠書類は提出していない)。

トランプとロスはご近所同士としても知られる。二人はフロリダのパームビーチで道路を隔てて大豪邸を持っており、ニューヨークのマンハッタン57丁目でもすぐそばに住んでいる。ロスのペントハウスはトランプタワーからほんの2ブロック行った場所にある。

トランプ政権ではいくつかの内部対立も懸念されているが、最高指揮官のそばにはいつも、長年の親友で大金持ちのロスが居ることになる。トランプとロスが取り交わすディールはアメリカ国民に利益をもたらすのか。それとも彼ら自身の資産を膨らますことになるのだろうか。

編集=上田裕資

 

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