ポケモンGOの「謎の仕様変更」 広告ビジネス本格化の予兆か

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訴訟対策の可能性も

2つめの説は、ナイアンティックが訴訟リスクを避けるために行ったというものだ。Sightingsを非表示にしてNearbyだけを表示させれば、プレーヤーはポケストップにしか行かず、危険な場所に足を踏み入れる可能性は減る。ポケストップが100%安全とは言わないが、悪意のある店舗はナイアンティックが常時消去しているため、プレーヤーが事件や事故に巻き込まれるリスクはほとんどない。

しかし、筆者はこの説にはやや否定的だ。ナイアンティックはこれまでにも事故による訴訟を避けるために、高速で移動中のプレイを制限しているが、今回の場合は事情が異なる。Sightingsを非表示にしても、野生のポケモンがいなくなる訳ではない。これまで通り道路の真ん中や治安の悪い地域に出現することはあり、その場所にプレーヤーが近づけば地図に表示されるのだ。

筆者は法律の専門家ではないが、Sightingsが表示される頻度が減らしたからといって、ナイアンティックが法的責任を免れる訳ではないだろう。また、これまでポケモンGOのような種類のゲームは存在しなかったので、プレーヤーが被害に遭ったときの責任の所在はグレーだ。こうした理由から、筆者は今回の仕様変更は訴訟を避けるためではなく、純粋にマーケティング目的だと考えるのだ。

ナイアンティックの意図が何であれ、現状のNearby機能は使い勝手が悪く、改善が必要であることには変わりない。まず、ポケストップのポケモンばかりを表示させるのではなく、より近くにレアなポケモンが隠れていたら、そちらを優先して表示させるべきだ。

また、Sightingsを表示させるか否かは、プレーヤーが選択できるようにするべきだ。ポケストップの少ない郊外に住むプレーヤーは、Sightingsを常時表示させたいと思うだろうし、都会に住むプレーヤーであっても、近くのポケストップに欲しいポケモンがいなければ、Sightingsを確認したいと思うだろう。現状の仕様は、どちらのプレーヤーのニーズも満たしていない。

筆者はナイアンティックに今回の仕様変更の背景を問い合わせているが、まだ回答は得られていない。詳細が判明し次第、改めて読者に報告したい。

編集=上田裕資

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