テクノロジーの進化の一方で重要度を増す「人間味」とは

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11月上旬、実業界のリーダーらが集まるセミナー「サミット・アット・シー2016」が開催され、グーグルのエリック・シュミットCEOやベイナーメディア創業者のゲアリー・ベナチャックらが登壇。人工知能(AI)やバーチャル・リアリティー(VR)などのテーマで展開され、これらのテクノロジーが今後どのように時代に適応し、進化していくかについて議論が交わされた。

テクノロジーの進化により、今後、一部の仕事がロボットに取って代わられていくことは今や誰もが知っている。シンギュラリティ大学設立者の一人、ピーター・ディアマンディスのような革新的思考を持つリーダーたちは、テクノロジーを使えば何だって達成可能だとまで主張する。

では、本当にロボットや機械の時代が来たら、労働力はどうなるのだろうか。その時になってもまだ、意味のあるスキルや仕事とは何だろうか-。

一つ言えることは、まだそこまで心配する必要はない、ということ。なぜなら、現在AIの多くが活用されているのは労働市場に関連のない分野だからだ。例えばフェイスブックでいえば、最新の顔認識システムは写真のタグ付けをしやすくするものであり、ユーザーのフィードに「別にみたいと思っていなかったもの」を出現させたりすることにAIを活用している。

また、もう一つ重要なことは、進歩したテクノロジーに完全に取って代わられる仕事は、全体のごく一部だということだ。

いずれ時代遅れになる仕事とは?

だがAIやVRによって労働力の形態が変わる部分は多くある。バンカーはいずれ過去のものになる可能性が高い。現在のATMだって、彼らの仕事の90%をこなす能力がある。事務仕事も変わるだろう。テクノロジーの進歩で、今より多くの事務作業がオートメーション化される可能性がある。

労働者の才能・能力に対する需要が増えている分野は?

広告やマーケティングの分野も変化している。例えばユーザーがネットで見ている内容に関連する広告を表示するコンテンツ連動型広告のようなテクノロジーにより、各企業はこれまでよりもターゲット顧客に影響力を及ぼしやすくなっている。

だが広告費の使い道をめぐる意思決定にあたって、各企業が求めているのは費用対効果を評価するための“分析技術”だ。こうした企業は、分析データと同時にそのデータを理解し、それを基に説明や助言を行うことのできる人材も求めている。
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編集=森 美歩

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