20代兄弟が生んだ1兆円企業 モバイル決済「ストライプ」の躍進

右:パトリック・コリソン、左:ジョン・コリソン(Courtesy of Stripe)

モバイル決済を手がけるストライプの創業者らが、世界最年少でビリオネアのリストに加わった。ストライプは先週、新たに資金調達を行ない企業価値は92億ドル(約1兆円)と算定された。

創業者の兄弟二人組、パトリック・コリソン(26)とジョン・コリソン(28)の資産額はそれぞれ11億ドル(約1,230億円)に達した。サンフランシスコが本拠のストライプは今回、グーグルの親会社アルファベットの投資部門CapitalGとゼネラル・カタリスト・パートナーズから合計1億5,000万ドルを調達した。

2015年のラウンドでストライプの企業価値は50億ドルと算定されており、評価額は今回その約2倍に達したことになる。

匿名の情報提供者によると今回の資金調達の前にコリソン兄弟はストライプの株式を各自30%保有していた。フォーブスは二人の持ち株分が現在、各自12%であると推定する。ストライプ社の広報は持株比率や資産額についてコメントを避けた。

ストライプで社長を務める26歳のジョン・コリソンは起業家としては世界最年少のビリオネアとなった。同じく26歳のスナップチャット創業者のエヴァン・スピーゲルよりも二ヶ月若い。

ストライプCEOのパトリック・コリソンは、スナップチャット共同創業者のボビー・マーフィーと同じ28歳。コリソンも世界で数少ない、30歳以下で10億ドル以上の資産を持つ起業家のリストに加わった。

現在、世界最年少のビリオネアはノルウェーの20歳、アレクサンドラ・アンダーセン。彼女は姉のキャサリーナ(21歳)とともに、家族が経営する投資会社Ferdの資産を受け継ぎ、姉妹の資産額はそれぞれ12億ドルとなっている。

コリソン兄弟はアイルランド国籍で、サンフランシスコに居住しストライプの運営を行なっている。アイルランド人のビリオネアとしては他に建設業の実業家、パロンジ・ミストリー(87)が知られ資産額は13億ドル。

決済金額は2兆円以上

ストライプは非上場企業で、昨年はフェイスブックやピンタレスト、ツイッター向けに決済ボタン「Stripe Relay」の提供を開始した。その後、リフトやキックスターター、“モバイル版アマゾン”と呼ばれるショッピングアプリWish等の決済も手がけている。

同社は売上を公開していないが関係者は昨年の決済総額が200億ドル(約2.2兆円)に達したと見込む。ストライプは決済金額の2.9%及び30セントを決済ごとに手数料として得ている。2015年の売上は4億5,000万ドルと推定される。

ストライプはコリソン兄弟が立ち上げた二社目の企業。一社目はeBayの出品者向けのソフトを開発するShuppaで、同社はその後類似したスタートアップ企業のAuctomaticに合併された。兄弟はともに米国の大学に進学した。ジョンはハーバード、パトリックはMITに進んだが二人ともストライプを起業するためにドロップアウトしている。

「ここまでの成功は嬉しいけれど、僕らが見据えるゴールはまだまだ先にある」と今年1月のフォーブスのインタビューにパトリック・コリソンは応えていた。

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事