感情までメイクで演出する女子たち 「耳チーク」ブームを探る

YuriF

みなさんは、「耳チーク」というものをご存知でしょうか。

文字通り「耳」につけるチーク、頬紅のことです。人気ヘアメイクアップアーティスト濱田マサル氏がテレビで紹介したことで、SNSでも一気に話題になったのだとか。

ドキドキすると、頬だけでなく耳まで赤くなってしまう。そんな「照れて高揚している私」をチークで演出してしまおう、というわけです。「あれ?この子、なんだか照れてるぞ? もしかして僕と一緒にいるから?」と、目の前の男性をドキドキさせることを面白半分で狙った、罪なメイクなのです。

そもそも「チーク」「チーク」とご存知で当然のように連呼してしまっておりますが、男性読者の方にはぼんやり聞き覚えがあるだけの言葉かもしれません。

「チーク」とは頬につける化粧品で、 血色を良く見せたり、顔の立体感を出すために使用されます。粉状やクリーム状で、赤やピンク、オレンジ、ブラウンなどの色が主流です。

もともと日本語では「頬紅」、英語では「ブラッシュ(blush)」といいます。本来、英語のcheekには「頬」の意味しかないので、「チークカラー」や「チークシャドー」という言葉が用いられることはあるものの、「頬紅」を「チーク」と呼ぶのは日本だけだそうです。和製英語なのですね。

欧米の女性にとってもチークは必需品ですが、日本の女性のように「血色をよく見せる」というよりは「頬骨を高く見せる」ためにシェーディングとハイライトを駆使することが大半です。欧米では、頬骨の高いことが美しい女性の条件。オードリー・ヘップバーンやアンジェリーナ・ジョリーが良い例です。

若返りどころか幼児返りしたような「あどけなさが逆に色っぽい」という流れが強い昨今のメイクのトレンドは、日本特有のものなのです。

このように目指している顔の雰囲気が異なるため、日本と欧米では、チークの人気色も大きく異なります。日本ではピンクやオレンジといった可愛い色が多いですが、欧米ではブラウンやベージュなど骨格を引き締めるのに適したシャープな色が好まれます。

顔色を良く見せ若々しさを演出したい日本の女性、実年齢よりも大人っぽく見せたい欧米の女性、それぞれのニーズを満たす肝として、頬の具合が顔の印象にもたらす影響力は非常に大きいことがわかります。
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文=山田 茜

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