社員のやる気を高めるために上司がすべき「シンプルなこと」

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職場で感謝の気持ちを示すことは、従業員の士気を高め、健全な文化を促す最もシンプルで最も効果的な方法かもしれない。にもかかわらず、多くのリーダーはそれをためらっている。

多くのリーダーは、部下が自分の仕事をしただけでなぜ感謝しなければならないのかと思っている。あるいは「彼女の仕事ぶりに感謝を示せば、昇給を期待される」と、感謝が裏目に出ることを心配していたりする。

「一生懸命働いてくれてありがとう」と言う代わりに、彼らは暗に「一生懸命やれば仕事をやるぞ」と示唆するメッセージを発信している。だが逆に多くの従業員は、こう思っているのだ。「お前のような上司の下で働いているんだから感謝しろ!」

誰もがほかの人からの敬意を求めているのに、誰もそれを示す最初の一人になりたいと思っていないのだ。多くの職場が同じような問題を抱えている。

職場で感謝を表明することの利点

シンプルに「ありがとう」と言うことが、個人にも組織にも利益をもたらす。感謝を伝えることがもたらす以下の利益については、科学的にも証明されている。

・従業員への感謝は生産性を向上させる
ペンシルベニア大学の研究チームの発見によれば、優れたリーダーは従業員の士気を高めて生産性を向上させている。資金集めの電話について行ったある調査では、マネージャーから感謝を表明された従業員は同僚よりも50%多く電話をかけた。

・感謝は健康を増進させる
多くの研究で、感謝と健康増進のつながりが指摘されている。物事や人に感謝する人は血圧がより低く、免疫力がより高く、心臓がより健康である傾向がある。感謝することが長生きの助けになり得ると示唆する研究もある。

・感謝は心を強くする
複数の研究で、感謝をする人はより回復力(立ち直る力)があることが示されている。ストレスによりうまく対処することができ、恨みや妬みのような有害な感情がより少ない。

・寛大さは伝染する
リーダーが感謝を表明すると、それが波及効果をもたらす可能性が高い。複数の研究で、協力的で利他的な姿勢は人から人へと広まっていくことが示されている。誰かに感謝すれば、された人が刺激を受けてほかの人に感謝を伝えていく可能性が高い。

・感謝は仕事満足度を向上させる
感謝と仕事満足度の向上には関連があることが調査で示されている。人は誰かに感謝されたと感じると、自分が持っているものの価値を認め、仕事により大きな喜びを感じる傾向がより強い。
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編集=森 美歩

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