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米カジュアル衣料品チェーン、アメリカン・アパレルの店舗は閉鎖に追い込まれることになりそうだ。11月14日に連邦破産法11条の適用を申請した同社だが、破産手続きが行われる間に買い手が見つかる見通しは薄いと見える。

フォーブス誌が入手した申請書類によれば、競争入札で関心を示したのは3社のみ。このうち実際に提案を行っているのは1社だけで、カナダの衣料品メーカー、ギルダン・アクティブウェア(Gildan Activewear)がアメリカン・アパレルの知的財産権を6,600万ドル(約72億円)で取得することに合意。だが店舗については、合意に含まれていない。

ギルダンは一部の卸売り資産と、ロサンゼルスの製造工場の全部または一部を維持する機会についても取得する予定だが、在庫品や相場以下のリース物件(店舗)については買い取らないとしている。今後、入札中の他企業からの提案がある可能性もあるが、見通しは薄く、アメリカン・アパレルは最終的に、店舗を整理することになるだろう。

「超格安でない限り、店舗を取得したいという企業はないだろう」と、小売業の専門家ジャン・クニッフェン・ロジャースは言う。「ブランド以外には価値はない」

アメリカン・アパレル側はこれを否定しており「入札プロセスの間も、おそらく新たな取得者の下で、小売ビジネスを続けていける可能性は大きいと考えている」としている。

アメリカン・アパレルは2015年、3億ドル(約327億円)の負債を抱え1度目の破産申請を行ったが、その後株主らとの交渉によって破産状態から脱却。だがこの時の条件の一部に、4,000万ドル(約43億円)の資産担保証券の発行があり、チャーニーCEOが去った同社に新たに投資したいと考える投資家はおらず、4,000万ドルの調達はならなかった。

そのため既存の株主や貸し手から調達して運転資金をまかなっていたが、2度目の破産申請の前には、破綻を回避するために毎週200万ドル(約2億1,800万円)の借り入れを行う状態となっており、これでは取得したいと考える企業がないのも仕方がないと言える。

ギルダンは、アメリカン・アパレルのいいところだけを取ったようだ。アメリカン・アパレルは2015年、卸売り業で1億6,700万ドル(約182億円)の純売上高を達成。また再建担当者は、知的財産権は同社の資産の中で最も価値が高いとしている。同社はアメリカン・アパレル、クラシック・ガール、スタンダード・アメリカンやクラシック・ベビーを含む120以上の商標を登録しており、いずれもビッグブランドだ。

それを考えれば「6,600万ドルはたいした額ではない」とロジャースは言う。「アメリカン・アパレルについては、ブランド名以外に買い手がつくとは思っていなかった」

問題を抱えた小売企業を取得しようと考えるところはほとんどない。これまでに破産申請を行ったパシフィック・サンウェア、エアロポステール、ナスティ・ギャルなどの例を見てもそれは明らかだ。「これらの企業の資産価値はそのまま、10代の若者をターゲットにした小売市場がいかに困難な市場かという事実を反映している」と、法律事務所ケーヒル・ゴードン&ラインデールで企業破産を専門とするジョエル・レビティンは言う。

アメリカン・アパレルの各店舗は今も売り上げを生んでいるが、企業を維持するには不十分だ。創業者のダブ・チャーニーは債務を積み増し、同社を破綻へと向かわせて、遂には追放された。だが「自分なしにアメリカン・アパレルは生き残れない」という預言だけは正しかったようだ。

編集=森 美歩

 

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