有意義な休暇はパフォーマンスを上げる、DeNA流「健康経営」

ディー・エヌ・エー CHO室 室長代理、平井孝幸


もちろん、数日間ハワイに行っただけでは健康になるわけではない。しかし、旅行先での経験はさまざまな気づきをもたらし、意識変容をもたらす。それが重要だという。

ビーチヨガやオーガニックフードをふんだんに食べられる非日常の体験がスイッチとなり、帰国後も身体を動かしたり野菜や食べ物に意識を向けるようになるといった日常性に落とし込むことで健康意識を高めることができる。

「一般的に、長期の休暇は多くの会社で取りづらいかもしれません。健康経営の視点でみたとき、年に2回でも社員が旅行に行きやすい環境を設計することで、生産性や福利厚生の観点からも社員の満足度は高まる。若い社員も体調管理に気を使うことで病気になりづらく、人材育成や人事の面でもいい影響を及ぼしてくれることを期待しています。健康経営は投資価値としても高いものと捉えるべきです」

休暇をただの休みと捉えるのではなく、積極的に新たな体験や刺激、発見を得る機会にすることで、自身の知的好奇心を刺激し、次なる活力や仕事の生産性向上につなげていく。社員のヘルスリテラシーを高め、継続的に高いパフォーマンスを発揮するには健康状態が重要であると一人ひとりが気づき、主体的に必要な知識を得て実践していく。環境が人を育てるという言葉があるように、人の健康も作ることができるのだ。

こうした健康経営の動きは、DeNAを起点に渋谷全域の企業をも巻き込んだ動きになってきている。健康経営の知見や社内で培ったノウハウやエビデンスをもとに、渋谷区や渋谷の企業とともに健康経営を推進する「ウェルネスシティ@SHIBUYA」をもとにした、健康的な街づくりを推進させていく動きも起き始めた。

積極的に休暇を取ることは、健康だけでなく企業の価値を高める大きな柱なのだ。


平井孝幸◎株式会社ディー・エヌ・エー CHO室 室長代理。人体や健康に関する書籍を半年で300冊以上読み、メンタル、食事、運動に関する研究結果をもとに自身のライフスタイルを一新。健康が当たり前な会社にするためCHO室を創設。

【特集】WEEKEND IN HAWAII[ビジネスパーソンの心を奪う、オアフ島の魅力]

文=江口晋太郎 写真=青木倫紀

この記事は 「Forbes JAPAN No.30 2017年1月号(2016/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事