ビジネス

2016.11.21

日本企業に必要な「イノベーションマネジメント」

Sergey Nivens / shutterstock

日本企業に今、必要な「イノベーションを経営する手法」を「イノベーションマネジメント実態調査2016」の分析調査から見ていく。

イノベーションマネジメントがすぐれている5社

コニカミノルタ

経営者の強いコミットの下、世界5極でビジネスイノベーションセンター(BIC)を立ち上げイノベーションを牽引。過半を外部人材で構成し、社外の力をテコに内部改革を推進。

アサヒグループ ホールディングス

社会的なテーマに基づいて社内から新規事業アイデアを集め、社外の知見者を巻き込んでブラッシュアップを行うプログラムなどの仕組みを経営トップのコミットの下に推進。

日立化成

オープンラボを通じ顧客を始めとしたステークホルダーとの協創を推進。ビジネスモデルを立案・強化する「ビジネスデザイン」に組織的に取組み、事業化の加速・高収益化を志向。

三井物産

トップ主導で設立されたイノベーション推進室が年間200億円の予算を有し、事業の不確実性がある領域にあえて踏み込む稟議制度も整備。社内提案制度Karugamo Worksを推進。

リクルートホールディングス

30年以上にわたる新規事業提案制度である「New RING」は極めて有名。外部との連携も盛んで創業以来の起業家精神を維持・発展させる仕組みとして機能。

選考基準

時価総額50億円以上(2015年8月時点)の計2,838社を対象にアンケート調査をした「イノベーションマネジメント実態調査2016」の分析結果を参照。



日本企業の4分の3は標準的なイノベーションマネジメントの水準に達していないー。

上場企業のうち、時価総額50億円以上(2015年8月時点)の計2,838社を対象にアンケート調査をした「イノベーションマネジメント実態調査2016」の分析結果から明らかになったのは、「イノベーションを経営する手法」について“変革の余地”が大きいことだ。

デザイン思考やオープン・イノベーションなどの個別手法は日本企業の経営者に広く認知されてきた一方で、イノベーションマネジメントについてはまだ認知が進んでおらず、標準的な水準を上回る日本企業はわずか25%にとどまったのである。

今回、同調査では、新規事業創造・イノベーションの促進を組織に根付かせるための経営手法を「イノベーションマネジメント」と定義。そして、1.トップのリーダーシップ、2.イノベーション戦略、3.イノベーションプロセス、4.パイプライン・ゲート管理、5.外部コラボレーション、6.組織・制度、7.イノベーション文化醸成ーの7項目により、企業の同水準を可視化させた。
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藤井剛 = 文

この記事は 「Forbes JAPAN No.28 2016年11月号(2016/09/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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