ビジネス

2016.11.08

テスラが急速充電の有料化を発表 際立つマスクCEOの賢さ

Photo by Chesnot/Getty Images


4. モデル3は「街乗り」向け

モデル3は、高学歴で専門職に就く都市部の住民を顧客として想定している。こうした人たちにとって、車の主な用途は通勤だ。最低約345kmとされるモデル3の航続距離は、通勤には十分だといえる。モデル3はセダンであり、大型の車ではない。スーパーチャージャーが重要な役割を果たす長距離の移動は、たまにはあるという程度だろう。

5. 初期の購入者が応援

すでにテスラ車を所有している人たち(そして、年内に注文する人たち)は今後もその車を保有する限り、無料でスーパーチャージャーを利用できる。これは、すでに16万人近いテスラ車の所有者(忠誠心の高いテスラの顧客)たちにとっては朗報であり、そこが重要な点だ。

アーリーアダプター(初期採用者)への無料サービスを継続することで、テスラは自社製品を自発的かつ熱心に応援してくれる「ブランド・アドボケーツ」という、極めて重要な顧客層を維持することになる。

大統領選の前日に発表

充電を有料化するというテスラの決定は間違いなく、全くの驚きだったというわけではない。フォーブスの寄稿者の一人も数か月前に、その可能性を示唆していた。街中を走る新車のテスラ車の大幅な増加から、同社がスーパーチャージャーについて再考せざるを得なくなることを予見していたのだ。

残念なニュースを伝えることが避けられないとき、問題は「いつ、どのように」それを伝えるかということになる。テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はその公表のタイミイングに、われわれの記憶にある限り米国にとって最も重要な選挙の前日を選んだ。

国の将来が決まるというときに、この先テスラ車の充電にかかる料金に強い関心を持つ人がいるだろうか?──なんと賢いことだろう。

編集 = 木内涼子

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