英企業の半数以上がインフラに不満、輸送面が重要課題に

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英産業連盟(CBI)が発表した2016年インフラ調査の結果によれば、同国企業の半数近くが、地元地域のインフラに不満を抱いているという。

今回の調査は、CBIとエンジニアリング大手のエイコム(AECOM)が、英企業278社を対象に実施したもの。その結果、44%の企業は過去5年で同国のインフラが改善されたと回答したものの、今後5年でさらに改善されると考えているのはわずか27%にとどまった。また64%は、今後インフラが原因で英国の国際競争力が阻まれるのではと考えている。

回答企業が最優先課題の1つとして挙げたのが、既に計画されている主要プロジェクトの実行だ。中でも380億ユーロ(約4兆4,000億円)の投資が行われた鉄道ネットワークや、150億ユーロ(約1兆7,300億円)が投じられている高速道路・幹線道路の建設計画の実現が最優先だとされた。

CBIは、各企業はこのところの英政府の実績を評価していると指摘。「だが今後5年で総合的なインフラが改善されるという信頼感は、2015年の調査の時から16%(43%から27%に)下落している」とも述べ、多くの企業が航空(74%)、エネルギー(73%)、道路(69%)関連のインフラについて、今後の改善を楽観視できていないと加えた。

しかしデジタルインフラについては例外で、59%もの企業が改善を期待していると回答。それでも全体の64%は、2050年の英国の国際競争力が今よりも向上している可能性は低いと感じている。

CBIのキャロライン・フェアベルン事務局長は、「インフラは生産性と生活水準の重要な推進力だ。国内企業はモノやサービス、ヒトの移動を道路や鉄道、空の便に頼っている。各企業はインフラについて政府の実績を評価しており、インフラを長期的な経済課題の中心に据えるという近年の取り組みに満足している」とコメント。

「だが実際に滑走路の建設や超高速インターネットケーブルの敷設が行われているかどうかは、また別の問題だ。半数近くの企業が地元地域のインフラに満足しておらず、また特に輸送インフラの将来への信頼感が下がっていることは問題だ」と課題に触れ、「我々のメッセージはシンプルだ。最終的に重要なのは、輸送インフラだ」と述べている。

「既存の計画に着手しなければ、英企業の競争力、ひいては英国全体に大きな悪影響が及びかねないのは明らかだ。特にブレグジットが決定したこの不安定な時期に、そんなことがあってはならない」
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編集=森 美歩

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