企業に幻滅する英消費者、「社会的利益を生むビジネス」に期待高まる

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「一部の産業分野で、英国の消費者は大損をしている。資本主義が間違った方向に進んできたことの証拠だ。飽くことなく利益を追求する企業から、消費者は不当な扱いを受けている」──「社会的利益を生むビジネス」を目指す英国の社会貢献団体、ソーシャル・エンタープライズUKのピーター・ホルブルック最高責任者(CEO)はそう語る。

これは、英国で10月11日に公表された世論調査会社ユーガブ(YouGov)の調査結果を受けての発言だ。同国の成人約2,000人を対象にした調査によれば、国民が「自分たちを食い物にして過剰な、または不当な利益を得ている」と考える企業のリストの上位には、サッカークラブや公益事業会社が挙げられた。また、鉄道会社や銀行、テレビ放送事業者も良い評価を得ていないことが分かった。

回答者の3分の2(67%)は、サッカーのクラブチームは消費者を犠牲にして暴利を得ていると考えている。さらに、電気・ガス・水道事業者(61%)、スカイやヴァージン、ブリティッシュ・テレコムなどのテレビ放送事業者(61%)、鉄道会社(58%)、銀行(53%)が、同様の評価を受けた。

この調査は、社会的企業からの購買を呼びかける「ソーシャル・サタデー」に当たる10月15日を前に発表されたもの。ソーシャル・サタデーは、同国の文化・メディア・スポーツ省の支援の下で実施されている。

注目度も上昇

社会との関わり方において企業はどうあるべきか、その点に関する英国民の考え方は変化している。現在の企業経営のあり方に多くの人が反発を強める傾向があるとみられる中で、社会的企業はその存在感を増しているのだ。

英国には約7万社の社会的企業があり、その数はさらに増加を続けている。これら企業は英国経済に約240億ポンド(約3兆円)の貢献をしている他、100万人近くを雇用している。また、社会的なビジネスには女性の参画が目立つことが特徴だ。女性CEOの割合は40%に上る。一方で、英国の代表的な株価指数FTSE100の構成企業をみると、その割合はわずか7%となっている。

その他、社会的企業の過半数(59%)は、一般的に就職に不利な条件があるとされる人たち、身体障害者や長期失業者、犯罪歴がある人を積極的に雇用している。これらの企業は創業から間もないものが多く、半数近く(49%)が5年以内、35%が3年以内だ。

社会的企業に対する認知度が高まっていることも、今回の調査で明らかになった。世界金融危機が起きた2008年には20%、2014年には37%だった「社会的企業を知っている」人の割合は、今回は過半数の51%に達した。

編集 = 木内涼子

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