米大統領選はマーケティングの好材料、5社の成功例とは?

photo by David McNew / gettyimages

米大統領選が間近に迫る中、国内では緊張が高まっている。共和・民主両党の候補が互いを攻撃するために言いたい放題で侮辱し合い、大人げない戦術を用いていることを受け、今回の選挙戦は史上最も不愉快なものだと考える国民が多い。

一方、大統領選がかつてないほどのメディアの注目を集める中で、選挙戦に関連付けた広告・販売キャンペーンを展開する企業は多数に上っている。いずれも非常に創造的で面白く、かつ効果的なものばかりだ。そのうち筆者が特に気に入っている5社のマーケティングを紹介する。

1. セブンイレブン

セブンイレブン(7-Eleven)は大統領選の実施前には毎回、「7-Election(セブン・エレクション)」を実施している。セブンイレブンでコーヒーを購入する人に「青(民主党)」と「赤(共和党)」のカップどちらかを選んでもらい、同社のウェブサイトに掲載した地図を州ごとに、販売数に応じて優勢な党の色に塗っていくものだ。

前回までと異なるのは、今年は「紫」の「Speak Up Cup(スピークアップ・カップ)」を用意したことだ(Speak Upは「自分の気持ちを率直に言う」という意味)。このカップには、第三党の候補者の名前や関心のある問題などを自由に書き込むことができる欄が設けられている。特に興味深いのは、地図を見るとほぼ全ての州が、紫色になっていることだ。

2. バドライト

ビールメーカーが大統領選に向けられるメディアの注目をチャンスとして捉え、飛びついたことは驚くようなことではない。そして、バドライトは多額の予算を惜しみなく注ぎ込み、特定の党に対する支持を表明することなく、マーケティングを成功させている。

国民の大半がどれほど大統領選を深刻に受け止めているかを考えれば、(新党の結成を宣言する)バドライトのTVコマーシャルは、私たちに清新な空気をもたらしてくれているかのようだ──特に、政治評論家たちの話の合間や、深夜番組の途中に見るものとしては。

3. ジープ

国が分断して互いに争い合っているように感じられる今、心地良いノスタルジックな映像ほど、私たちの心の琴線に触れるものはない。見ていて気分が良くなるジープのTVコマーシャルは、米国人が自国を誇りに思うべきさまざまな理由に焦点を当てている。

画面を左右に分割したこのCMには、効果がある。私たちの大半がまさに日常的に目にしている「分断(違い)」を視覚的に見せた上で、前向きに捉えているからだ。どちら側も悪く描かれることなく、単なる「違い」として対比されている。ジープのメッセージは、米国民は一つになり、米国を国民にとって素晴らしいものにしている事柄を大事にしようというものだ。そして、その答えの一つが「(一緒に)ジープの車を持つことなら、さらに結構」ということなのだろう。

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編集 = 木内涼子

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