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中国の宅配便大手、中通快逓(ZTO)は10月27日に、ニューヨーク証券取引所で上場した。調達額は14億ドル(1,468億円)で、米国でIPOした中国企業としては今年最大規模となった。しかし、同社が米投資家の信認を得るまでには、厳しい道のりが続くだろう。

ZTO株の上場初日の終値は、売り出し価格を約15%下回る16.57ドルだった。翌日午前には17ドルまで戻したが、公募価格の1株19.5ドル(約2,000円)には届いていない。

投資家がZTOから距離を置くにはそれなりの理由がある。中国の宅配業界は群雄割拠状態で、ZTOが今後も大きなマーケットシェアを握り続けられるのか、見通しは立たない。

iResearchの分析によるとZTOを含む同業トップ5社の昨年の合計シェアは60.9%だった。業界2位のZTOのシェアは14.3%で、首位の圓通速逓(YTO)の14.7%、3位の申通快逓(STO)の12.4%とはほとんど差がない。

YTOやSTOなど競争相手も、資金力を高めてトラックや配送センターを増やすために、裏口上場と呼ばれる手法を通じて中国で上場を果たした。モーニングスターのアナリスト、マリー・サンは、業界の激しい競争が、ZTOの利益を押し下げかねないと指摘する。

課題は「アリババ依存率」の高さ

また、急成長を続けてきた中国の宅配市場も、減速の兆しが見られる。昨年の中国の宅配便取扱件数は前年比48%増の207億件だった。しかしiResearchのレポートによると、今年の増加幅は34.8%、2020年には15%まで縮小する見込みだ。

上海のベンチャーキャピタルGobi Partnersのパートナー、ケン・シュー(徐晨)は、ZTOの今の株価がなお割高であると指摘する。1株19.5ドルの公募価格だと、株価収益率(PER)は30倍を上回る。

シューは、「ZTOの株価は将来の成長も織り込んでいる。しかし中国の宅配市場はこの数年で成長が鈍化しており、一方で人件費は高騰している。業界の全てのプレイヤーにとって、大きなプレッシャーとなっている」と述べた。

ZTOのCFO、グオ・ジエンミン(郭建民)は「株価は長期的に見れば適正だ」としたが、モーニングスターのサンは、同社の別のリスクとして、EC大手のアリババへの過度な依存を挙げた。

昨年、ZTOの全事業量に占めるアリババのショッピングサイトの荷物配送は77%に達した。ZTOはアリババのライバルであるJD.com(京東商城)の荷物配送も行っているが、オンラインショッピング業界におけるアリババの支配力は圧倒的なため、これ以上の顧客の分散は難しい。

また、アリババとの今後の取引も保障されていない。アリババ会長のジャック・マーが設立した投資ファンドYunfeng Capital(雲鋒基金)は、ZTOのライバルであるYTOにも出資している。

編集=上田裕資

 

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