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2016.10.20

膨らみ続けるネットフリックスの制作費、投資家らの楽観に根拠はあるか

リード・ヘイスティングスCEO photo by Jacopo Raule / gettyimages

米動画配信大手ネットフリックスの株価が、10月17日の時間外取引で急騰した。同日に行った今年第3四半期(7~9月期)の決算発表に伴い公表した国内外の新規契約件数が、自社とアナリストの予想をいずれも大幅に上回ったためだ。

だが、これらはネットフリックスが最大限の努力をした結果だ。そして、その努力は「多額の資金を注ぎ込んだ」で済む程度のものではない。

ネットフリックスにとって、オリジナル作品は何より重要なものとなっている。同社は巨額を投じた「ストレンジャー・シングス・未知の世界」「ナルコス」などの作品が競合他社との差別化を実現し、自社を消費者にとってなくてはならない存在にしてくれることを願っている。これまで12億ドル(約1, 240億円)としていた年内の制作費は、およそ15億ドルに膨らむ見通しになっている。

制作費を用意するため、同社は向こう数週間内にも、新たな資金調達を実施する計画だ。その後もさらに、複数回にわたって行う予定だという。同社の負債比率はこれらにより、現在の5%から20%に達する見込みだ。

ネットフリックスはこうした中、米国の加入者を対象に利用料金の引き上げを行い、売上高を伸ばしたい考えだ。リード・ヘイスティングス最高経営責任者(CEO)は同日に公開した投資家宛ての書簡の中で、「売上高を伸ばすことができれば、世界各国でより多くの新規加入者を呼び込み、既存の顧客の満足度を維持する一方で、わが社の一層の向上に向けた再投資ができる」と説明している。

アナリストらは懸念

一方、ウォール街のアナリストらの間には、こうした巨額の支出が実際に、同社に利益をもたらすのか疑問視する向きもある。

米ウェドブッシュ証券のアナリスト、マイケル・パクターは18日、自社の顧客に対し、「(ネットフリックスの)現金燃焼率は、受け入れ難い高水準だ」「こうした巨額の支出を正当化できるだけのコンテンツライブラリーを築くことができるのか、われわれは懐疑的だ」との見解を示した。
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編集 = 木内涼子

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