勃興するVR「非ゲーム分野」5大潮流 教育から医学利用まで

photo by Luis Alvarez / gettyimages

VR(仮想現実)が誕生して久しいが、2016年は売上が10億ドル(約1,042億円)に到達する記念すべき年だ。フェイスブックやグーグルらはVRをエンターテイメントの分野で導入し、ここ1年でヘッドセットが250万個以上売れている。ソニーもプレイステーションVRを10月13日から販売開始した。

しかし、VRが活躍するのはゲームの世界だけではない。ここでは非ゲーム分野のVR活用の事例を挙げてみたい。

教育

教育業界におけるここ数年で最大のトレンドと言えば“反転授業(フリップトラーニング)”だ。これはカーンアカデミーや大規模公開オンライン講座(MOOC)を推進する機関が進める教育方法で、授業内容は自宅でタブレットなどを利用して視聴し、学校では応用問題などに取り組む方法だ。

VRはこの反転授業ですでに役立てられている。「グーグル・エクスペディション(Google Expeditions)」は様々な場所へのバーチャル遠足を実現するソフトウェアで、歴史や地理の勉強に役立つ。

また、Immersive VR Educationなどの企業は、生徒らに臨機応変にストーリーが変化するダイナミック・ストーリーテリングを導入している。さらに機械学習やAIが進化すれば、相対性理論についてアインシュタインと語ることもできるようになるかもしれないし、ホロコーストを体験した人々にインタビューが出来るようになるかもしれない。

データのビジュアル化

ビッグデータの時代において、膨大な量の情報をグラフや表などの従来の方法で概念化するのが難しくなってきている。人間は画面上から情報を読み取る場合、1秒に1キロバイトしか処理できない。しかし、VRを導入することによって理解にかかる時間を短縮できるかもしれない。

ヘルスケア

事例が少なく複雑な治療方法は、医師らが技術を学ぶ機会が少ない場合も多々ある。VRはトレーニングツールとして利用できるだけでなく、診断にも使える。VRはロボットによる手術や退役軍人向けのPTSDのリハビリにも導入されている。

治安の維持

警察でもVRが訓練に使われており、殺傷力の高い武器を使わずにいかに事態を沈静化していくかというトレーニングに導入されている。英ガーディアンによると、治安維持部隊の訓練には従来の教室での研修よりもVRの方が効果的であることが分かっている。

デザイン

手書きでイメージを描くのは過去のことになりつつある。グーグルのVRペインティングソフト「Tilt Brush」では、ユーザーの周辺全てがキャンバスになる。Gravity SketchなどのVR企業は、2Dのスケッチを3D化するプラットフォームを提供している。

編集=上田裕資

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