ビジネス

2016.10.08

BMWが「ブランド体験施設」を東京・お台場につくったワケ

東京・有明エリアに新設された「BMW GROUP Tokyo Bay」


「これらのブランドを手に入れたときから、各ブランドの理想的なポジションを設定し、そこに近づける努力をしています。ブランドが放つメッセージへの反響、オーセンティックであることに常に配慮し、決してブランドを薄めてはいけないと考えています」

BMWほどエスタブリッシュされたブランドであっても、こうした努力なしに100年の歴史は紡げないということだろう。

「次の5〜10年間では、過去100年以上の変化が起こるでしょう。ワクワクする一方で、変化の方向性を見据え、人々が継続してモビリティを楽しめるようなことを提供していきたいと考えています。EV、PHV、FCVといった次世代車、コネクテッド・カー、公共交通など、すべての変化が同時にやってきます。そして、次の次元では、自動運転が必要とされるでしょう。ただ、ひとつだけ確実に言えることは、どの時代においても、BMWは一貫して駆け抜ける歓びを提供する企業であり続けるということです」

実はドイツでは、メルセデス・ベンツがBMWの100周年を祝って、「100年間、良い競争ができたことにありがとう」といった広告を打ち、ポルシェはBMWのタグラインである”Freude am fahren(=駆け抜ける歓び)”を引用して、100年の歴史に敬意を表した。ブランド構築においても、そんなお互いを認め合うよい競争相手たちがいる国だからこそ、たゆまぬ努力が必要とされるのかもしれない。

イアン・ロバートソン◎BMW AG セールス&マーケティング担当上級副社長。1979年にローバー・グループに入社し、BMW傘下にあった際のランドローバー部門を率いた。2005年からはロールスロイス・ブランドのCEOを務めて、2008年から現職となる。

文=川端由美

この記事は 「Forbes JAPAN No.27 2016年10月号(2016/08/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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