情熱みなぎる「純血のスポーツカー」フェラーリが現代を駆ける[クルマの名鑑 vol.2]

フェラーリ 488 GTB/Photo by Tsukuru Asada (secession)

年産約7,000台の小さな自動車メーカーだが、クルマ好きなら、いや、クルマなど好きでなくても、フェラーリの名前を知らない人はいない。

北イタリア・マラネッロにある本社を訪れると、創業当初と変わらぬ、控えめなたたずまいに驚く。しかし、一歩足を踏み入れると、一変して最新の生産施設が立ち並ぶことに、再び、驚く。

この小さな会社が世界有数のスーパー・スポーツカーを生み出す背景には、世界最高峰のレースにおける輝かしい戦績があり、そのための技術開発に莫大な人材と予算がつぎ込まれている。

なぜ、フェラーリはレースの勝利に情熱を注ぐのだろうか? 創業者のエンツォ・フェラーリがそのために会社を作ったからだ。F1、ル・マン24時間、ミッレ・ミリアといった有名レースで勝利を収めた結果、フェラーリの名は世界中のセレブリティに知れ渡った。そのブランド力の高さは明らかで、昨年のIPOでも8億9,300万ドルで上場を果たした。

レースシーンでの栄光を追い求めたエンツォの意思を色濃く受け継ぐのが、V8エンジンを搭載した「488 GTB」だ。12気筒エンジンを積んだフラッグシップ「F12ベルリネッタ」が公道で走らせるグランドツアラーの性格も併せ持つのに対して、「488GTB」はピュアにサーキットでの走行性能を追い求めた設計だ。

パフォーマンスを出し切るにはそれなりのスキルを必要とするが、スキルアップをしてでも乗りこなしたいと思わせる魅力がある。

[DATA]
駆動形式:後輪駆動
全長:4,568mm
全幅:1,952mm
全高:1,213mm
最高速度:330km/h以上
価格:¥30,700,000(税込み)
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Text by Yumi Kawabata、Edit by Tsuzumi Aoyama

この記事は 「Forbes JAPAN No.27 2016年10月号(2016/08/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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